ハトムギ製品とニキビ治療薬

平良清人/美里ヒフ科(2020年8月27日掲載)

刺激で炎症 別々に使用を ~沖縄県医師会編


 最近、ハトムギ化粧水を使われている患者さんをよく目にします。ハトムギの保湿・美白作用をうたったもので、値段も安くスーパーやドラッグストアなどにもあり入手しやすいようです。


 ハトムギの成分はヨクイニンの名称で漢方薬として使われていて、内服することで免疫力を高めてウイルス性のイボ治療に使われたり、紫外線によるメラニン色素の生成を抑えてしみ・くすみをへらすと考えられています。また皮膚を刺激して新陳代謝をうながし角質を入れかえるのでニキビにも使われています。最近では内服のみならず化粧水や洗顔石鹸(せっけん)、化粧品の有効成分としてハトムギが含まれている製品もあるため、日々のスキンケアにも取り入れやすいのでしょう。このように手軽で安価なハトムギですが、人によっては赤くなったり痒(かゆ)くなる方も多いので気をつけてください。


 また、医薬品のニキビ治療薬を使用されている方も注意が必要です。これまでニキビにはおもに抗生剤軟膏(なんこう)が使われていましたが、なかなか治りにくいものでした。しかし、2008年ごろより新しく認可されたニキビ治療薬にはアダパレンや過酸化ベンゾイルといった成分を含み、これまで使われていた抗生剤軟膏と併用することでニキビ治療が大きく進化しました。


 新しいニキビ治療薬は皮膚の角質に働きかけて毛穴をつまりにくくしたり、角質を剥離するピーリング作用があり、とくにでき始めのニキビを治しつつ新たなニキビの発生を抑えることで効果的に治療することができるようになりました。使い始めに一時的にカサカサしたり赤くなったりすることがあるので保湿剤を併用して使うこともあります。


 ただし、これらの薬剤とハトムギの入った化粧水や石鹸などを一緒に使うと刺激が強くなりすぎて皮膚に炎症をおこしたり肌の乾燥が強くなることがあるので、新しいニキビ治療薬を使っている方はハトムギが入っていない化粧水や保湿剤がよいでしょう。

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