目のピント調節機能が凝り固まる「スマホ老眼」

宮平誠司/首里眼科(2020年8月14日掲載)

若者でも症状 ~沖縄県医師会編


 スマホの個人保有率は2019年には82%を超え、15歳以上30代までの年齢層では、90%以上となっています。老眼、というと、40代以上の方を連想すると思いますが、スマホの不適切な使用によって、若年層でもそれに類似する症状が現れており、それをスマホ老眼といいます。


 人の目は、遠くを見たり、近くを見たり、目と見る物の距離によって自動的にピントを合わせる機能が備わっています。カメラのオートフォーカスのようなものです。ピントを合わせる重要な役割を担っているのが、毛様体筋(もうようたいきん)という目の筋肉です。毛様体筋が緊張したり、緩んだりすることによって水晶体が厚くなったり、薄くなったりして、見たいものにピントを合わせてくれます。


 しかし、長い間スマホを至近距離で見続けると、毛様体筋が緊張状態となり凝り固まってしまうことで、近くにピントが合ったままになってしまい、ピント調節が一時的にできなくなってしまいます。


意識的にまばたき効果的 1時間見たら15分は目を休ませて


 それを防ぐには、十分睡眠をとる、1時間見た後には15分程度の休憩を取る、スマホと目との距離を最低30センチ以上保つことが大切です。近い距離でスマホを見続けると、毛様体筋に加え、目を内向きにする筋肉まで疲労してしまいます。スマホ老眼を防ぐには、他に、適切な距離が楽に見えるメガネをかけるとよいでしょう。それにより、毛様体筋への負担が少なくなります。個人個人、目の状態は違いますので、眼鏡専門店で、自分に合ったメガネを用意しましょう。


 また、目の周囲を定期的に温めるのも、毛様体筋をほぐす効果があります。市販のホットパックもありますが、40度くらいのお湯につけ絞ったタオルを当てるだけでも効果があります。水と油でできている涙も温まり、それらがよく混ざり合い、乾きにくくなり、ドライアイの予防にもなります。


 スマホ使用時は、まばたきが3分の1に減るといわれており、意識的にまばたきをするのもいいでしょう。便利なスマホですが、以上を守り、快適に使いましょう。

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