こんな時に予防接種?

安里義秀/あさとこどもクリニック(2020年5月29日掲載)

ワクチンで防げる病気 命守る大きなメリット ~沖縄県医師会編


 新型コロナウイルスが猛威を振るい、外出自粛が推奨されている状況で予防接種のため病院を受診することもよくないのでは、と考える保護者がいらっしゃると思います。でも、ここは一つ冷静に考えてみましょう。


 日本ではまだ、少なくない数の子どもたちが、ワクチンで予防できるはずの病気(VPDと呼ばれます)に感染して、重い後遺症で苦しんだり、命を落としたりしています。


 例えば麻疹(はしか)は2018年の世界保健機関(WHO)の推定では世界中で14万人以上が死亡していると考えられています。現在の日本では麻疹による死亡者は0ですが、1990年代までは毎年10~20人ほどの死亡数でした。他のVPDでも同様なことが言えます。


 一方新型コロナウイルス感染では現在までの状況から、小児に対しては重篤化のリスクは低いと推測されています(5月7日時点で日本の10歳未満の感染者は253人、重症者1人、死亡0人です。大人と比べてみてください)。


 そんな中ワクチン接種を控えても大丈夫なのでしょうか? もしワクチンを接種しなかったら、ワクチンがなかった200年前と同じですよね。というか新型コロナの問題に直面している現在の私たちと同じです。


 皆さんはどんな気持ちで今の状況に対応しているのでしょう? いくら医学が進歩していても、ワクチンのない新型コロナウイルスに脅威を感じているのではないでしょうか? 早くワクチンが開発されるように祈ったりしてはいませんか?


 世界中に数多くある感染症の中で、ワクチンで防げる病気はわずかです。防げる病気だけでも予防して、大切な子どもたちの命を守りたいものです。


 たしかに、子どもを予防接種に連れて行くのは大人で、その大人の新型コロナウイルスの感染リスクは若干増えます。しかし、そのリスクを踏まえても、わが子が得られるメリットが大きいのなら、積極的にそちらを選択するほうが、私は幸せな気分でいられます。皆さまはいかがでしょうか?

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