感染症から体を守る皮膚と粘膜

涌波満/ファミリークリニックきたなかぐすく(2020年4月24日掲載)

優れた免疫力を発揮させるコツは ~沖縄県医師会編


 ウイルスは私たちの身体に侵入し、かぜや嘔吐(おうと)、下痢、がん、エイズに至るまで、さまざまな影響を及ぼします。身体の中で、外とじかに接している部分は、当然ウイルスの侵入経路となります。皮膚、のど、鼻、気管、腸(消化管)、生殖器の粘膜がその部位です。


 目に見える部分の多くは、皮膚で覆われています。皮膚には、角層といわれるバリアーがあり、ウイルスや細菌の侵入を防いでくれます。しかし、湿疹やけがなどで、このバリアーが崩れると、感染のきっかけになることがあります。


 一方、体の表面には見えませんが、粘膜も外に接しています。身体の内にあるようですが、鼻やのど、気管の内腔は、吸った息の通り道であり、また、胃や腸の内腔も食べたものが通過する空間で、体外とみなされます。


 この粘膜を覆う細胞には、細かな毛のような構造があり、特に息の通り道である気道の粘膜は、ほこりなどの細かな粒子を肺の奥に入れないようにする働きを持っています。また、分泌物を出して表面を洗い流すようなシステムを備えています。まさに、エアコンの自動洗浄のような働きです。このような働きが強くなって自覚されるのが、鼻水、痰(たん)、下痢の症状なのです。


 さらに、皮膚、粘膜の内側には、白血球やリンパ球などがいて、万が一、ウイルスや細菌が侵入したときに、すぐに対応できるよう監視しています。免疫といわれる外敵から身体を守るシステムはまだまだたくさんあり複雑ですが、私たちが考える以上に、すばらしい防御システムが備わっているのです。


 かゆいために皮膚をかきむしる、鼻や目をこする、たばこを吸うような行為は、ウイルスや細菌が侵入しやすい状況を自らつくっていると言えます。このような行為は行わず、私たちのもつ優れた免疫システムを認識して、規則正しい生活、適度な運動、こまめな手洗いを行うことで、その力を最大限発揮できるように努めましょう。

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