糖尿病は治る? 治らない?
安谷屋徳章/ゆいゆい内科クリニック(2020年4月10日掲載)
食事や運動療法で薬飲まない生活も可能 ~沖縄県医師会編
糖尿病患者さんから「糖尿病は治らないのですか?」という質問をよく受けます。
患者さんからしてみれば、一生薬を飲まないといけないという不安感があって、聞いてきているのだと思います。
糖尿病とは、そもそも何なのでしょうか? 糖尿病は読んで字のごとく、「おしっこに糖がもれる病気」です。
おしっこに糖がもれたら何が悪いのか、という話はわき道にそれてしまうので、今回はわきに置いておきます。
おしっこに糖がもれるということは、すなわち血糖値が高いということです。血糖値が高いと何が悪いのか、も置いておきますが、健康な人は血糖値が高くなることがありません。
つまり、糖尿病かどうかは、血糖値が高くなることのある人なのか、高くなることのない人なのか、ということです。この線引きとして、診断基準というものがあります。この基準をこえると、糖尿病と診断されます。
患者と医者で異なる考え方
糖尿病が治るのか治らないのかという疑問を判断する場合、医者は、「基準をこえていた人がこえなくなること」を治ったと判断します。この考え方だと、糖尿病は「治らない病気」ということになります。残念ながら、血糖値の高くなる人が高くなることのない人にはなれないからです。
しかし、患者さんは、「薬を飲んでいた人が飲まなくてもすむようになること」を治ったと判断しています。この考え方だと、糖尿病は必ずしも「治らない病気」ではありません。なぜなら、食事療法や運動療法、生活習慣の見直しなどで、薬を飲まなくてもすむようになることは可能だからです。
同じ「糖尿病」という言葉でも、医者と患者で考え方やとらえ方がぜんぜん違うので、注意しないといけないですね。
糖尿病には、ならないことが一番大事ですが、なってしまった後も、食事療法や運動療法を心がけて、あまり薬に頼らないですむようにしましょう。