朝の第一歩、かかとに痛み

佐久本嗣夫/SAKU整形クリニック(2020年3月13日掲載)

加齢や肥満だけじゃない「足底腱膜炎」の原因 ~沖縄県医師会編

 かかとの痛みの原因としていくつかの疾患がありますが、特に頻度の多いものとして足底腱(筋)膜(けんまく)炎があります。これはもちろん重症化すると症状は変わってきますが、初発症状としては朝の歩き始めや座った状態からの立ち始めに痛みを感じ、その後歩行すると痛みは改善してくるといった症状です。


 足の裏には、スプリングの役目をする足底腱膜という腱が、かかとから5本の足趾(そくし)の根元に扇状に広がっています。これは加齢その他の理由により足のアーチ構造が壊れてきたり、足底腱膜そのものの質が悪くなってスプリング機能が低下することがあります。


 そういった中で立ち仕事の時間や歩行距離が長いと、かかとに痛みを感じ始め足底腱膜炎を発症します。


 肥満もまた大きな原因の一つです。これは中高齢者に多い疾患なのですが、そうでなくても走ったりジャンプが多いスポーツをする若い人にも足底にかかるストレスが大きいため発症することがあります。


 重症化すると、疼痛(とうつう)は動作の開始時のみではなく常時伴い程度も強くなります。


 予防、治療としては、まず運動量、歩行や立位保持の時間を減らし足底にかかるストレスを軽減させます。その他、足底の温熱療法、マッサージ療法、足底やアキレス腱のストレッチも有効です。


 また靴は足のサイズに合ったクッション性のある靴で、できれば土踏まずの部分に盛り上がった部分のついたインソール(中敷き)を敷くと良いと思います。このインソールは難治性の場合には医療機関で治療用インソールとしてカスタムメイドにすることも可能です。


 その他、医療機関では注射による治療も行われ、一部では「体外衝撃波治療」(腎や尿路結石を砕く治療器と同種類のもの)を行っている医療機関もあります。


 これまで述べた予防法、治療法を自宅で実践しても、疼痛が改善しなくて長期化しそうな場合は整形外科を受診することをお勧めします。

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