喫煙の危険性 突然死が5~10倍にも

洲鎌盛一/牧港中央病院(2020年2月21日掲載)

狭心症や心筋梗塞の要因 動脈硬化し不整脈にも ~沖縄県医師会編

 狭心症、心筋梗塞などの循環器病を患い、病院を受診する患者さんは少なくありません。狭心症、心筋梗塞は心臓の筋肉を栄養する冠状動脈が狭くなったり、詰まったりして発症します。


 一方では、タバコの害を知りながら、なかなかやめきれずにいる喫煙者もたくさんいます。タバコの煙に含まれるニコチンは交感神経を刺激して末梢(まっしょう)血管を収縮させて血液の流れを悪くします。また心拍数を増やし、血圧を上昇させて心臓や血管へ悪影響を及ぼします。


 煙に含まれる一酸化炭素も動脈硬化を促進したり、不整脈の原因にもなります。


 喫煙は血管の内側の細胞を老化させ詰まりやすくし、心筋梗塞や狭心症の危険性を高めます。腎臓にも悪影響を及ぼし、それがさらに心臓機能を悪化させます。


未成年で喫煙を開始 高い冠動脈疾患死亡率


 米国の有名な疫学調査によれば、喫煙者が狭心症や心筋梗塞になる危険性は、非喫煙者の2~3倍で、突然死はなんと5~10倍になっています。日本における疫学調査でも同様の報告がなされています。特に未成年で喫煙を開始すると冠動脈疾患死亡率は高くなると言われています。


 また喫煙により周囲の方へは受動喫煙が起こります。受動喫煙のために、心臓病、血圧の上昇、脳卒中、癌(がん)などを引き起こす要因になることも分かっています。


 以上のことをふまえて、循環器疾患ガイドラインでは禁煙の推進が提唱されています。禁煙すると心臓血管死の危険性は、大きく低下します。急性心筋梗塞の再発、冠動脈バイパス術後の心筋梗塞、狭心症発作リスク減少については、国内外の研究で明らかです。喫煙は“健康への最大の危険因子”であり、禁煙のメリットは計り知れません。


 心臓病になったら禁煙しましょう。減らす、軽くする、新型タバコへの変更はNGです。自力での禁煙がむつかしい場合は、主治医と相談、うまくいかないときは禁煙外来受診を勧めます。

このページのトップへ