高いメタボの死亡率 発症多い沖縄
井関邦敏/名嘉村クリニック(2020年2月6日掲載)
高齢者のやせすぎ・低栄養も注意 ~沖縄県医師会編
2008年度より導入された特定健診(いわゆるメタボ健診)も12年になります。日本腎臓学会では当初より研究班を組織し、さまざまな臨床研究を行っています。また、検尿(蛋白(たんぱく)尿、血尿、糖尿)および血清クレアチニン測定の意義をめぐって厚労省との折衝を重ねてきました。研究班は、これまでに46編を超える原著論文を発表し、慢性腎臓病(CKD)の早期発見、早期介入により透析導入に至る患者さんが減少することに貢献しています。
毎年8月には協力していただいている沖縄の関係者への報告会を開催し、本年度で6回目を迎えました。本年度はメタボリック症候群の有無、変化度および死亡危険度について協力7地区(沖縄、宮崎、福岡、豊中、福島、茨城、新潟)の比較検討を報告しました。
健診翌年のメタボ発症率は沖縄6・5%(全体5・3%)、メタボ改善率は沖縄6・7%(全体5・3%)、メタボ継続・悪化率は沖縄12・9%(全体8・7%)という結果で、沖縄の関係者の皆さまの努力によりメタボが改善する方も多いのですが、新たに発症する方も同程度おられることが判明しました。
メタボを有する方は有しない方に比し、総死亡の危険度(1・08倍)、心血管死亡危険度(1・39倍)といずれも有意に高く、2年間連続してメタボであった方の死亡危険度は2年間メタボでなかった方に比し、総死亡(1・18倍)、心血管死亡(1・57倍)と有意に高く、2年目にメタボが改善した方では心血管死亡の有意な低下(1・16倍)が認められています。
メタボ健診では肥満が問題ですが、やせすぎも良くありません。とくに高齢者では低栄養、運動不足が問題となっています。加齢によりさまざまな臓器の機能が低下してきますので、暦年齢に加えて各臓器の年齢もチェックする必要があります。メタボ健診では40~74歳を対象にしていますが、今後は75歳以上(100歳まで)の健康で活力のある方で臓器年齢を調査する必要があります。