エアバッグのけが防げ

小濱守安/県立南部・こども医療センター(2019年12月27日掲載)

チャイルドシートは後部座席に ~沖縄県医師会編

 子どもを自動車に乗せるとき、安全にチャイルドシートを装着できる場所はどこでしょうか。母親が1人で子どもを乗せて運転する場合、子どもの顔が見えないと心配です。子どもにとっても母親が見えないと不安で泣きだしてしまうこともあります。助手席に子どもの顔が後方を向くようにチャイルドシートを装着すると、運転中も子どもの顔が見え、子どもも母親が見えて安心です。でも待ってください。助手席のダッシュボードにはエアバッグが内蔵されています。エアバッグは事故の際に瞬間的に作動し、助手席の同乗者をダッシュボードへの衝突から保護します。助手席での後方向きチャイルドシート装着は、事故の衝撃でエアバッグが展開すると、チャイルドシートごと子どもが助手席に激突して大けがをします。助手席に子どもが後方向きになるようチャイルドシートを装着してはいけません。


 助手席で子どもが前方向きになるようチャイルドシートを装着すると、チャイルドシート内の子どもは、運転手より前方に位置します。助手席のエアバッグは、運転席のエアバッグの1・5倍の大きさがあり、膨らむ速度は時速200キロです。助手席は子どもは見晴らしもよく喜びますが、運転者よりエアバッグに近いため、事故に際しより大きな衝撃を受ける可能性があります。助手席への装着は、できるだけ避けてください。


 後部座席への装着は、助手席より子どもの死亡率を27%減少できるとの報告があります。後部座席では、助手席または運転席後方への装着が考えられます。助手席側後部座席へ装着すると、事故時に歩道側から子どもを救助または避難させることができます。しかし同乗者の後部座席への乗降が道路側からとなり、現実的ではありません。多くは運転席側後部座席に装着されていることが多いようです。後部座席では、子どもの顔が見えない、子どもから親の顔が見えないという心配に対しては、ベビーミラーなどを利用することで解決可能です。チャイルドシートは後部座席に装着しましょう。

このページのトップへ