大腸がん、早く見つけて根治率を上げよう
崎原永辰/生活習慣病検診センター(2019年12月20日掲載)
低い精密検査の受診率 ~沖縄県医師会編
みなさまは年1回の特定健診やがん検診を受けていますか。多くの生活習慣病や早期のがんは自覚症状がほとんどないため、健康診断を受けて初めて分かることがよくあります。健康診断の結果で要精密(ようせいみつ)検査と判定された場合は、かかりつけ医または指定された二次医療機関でさらに詳しい検査をします。この二次検査を受けてはじめて病気の有無が確定して、早期の治療を目指します。とくにがんは早期に対処するほど治療の侵襲が少なく根治率が高いので、がん検診で要精密検査となった場合はできるだけ早めに専門医の診察を受けてください。
二次検査の受診率を精検(せいけん)受診率といい、厚生労働省はがん検診における望ましい精検受診率として乳がん検診を80%以上、胃がん、大腸がん、肺がん、子宮がん検診を70%以上と設定しています。しかし、昨年の調査における精検受診率は乳がんと子宮がんはクリアしていますが、肺がんと胃がんは目標値に届いておらず、大腸がんにいたっては49・8%と半分にも達していません。大腸がん検診の検診方法は、便潜血二日法といって大便の表面から異なる日に採取した検体中に混じっている血液を調べることによって、大腸がんの存在を推定しようというものです。切れ痔(じ)などや経血などの混入によって誤った結果が出ることもありますが、実はがん検診のなかでは最も陽性的中率の高い検査なのです。とくに二日法のいずれも陽性の場合や経年的に陽性が続いている場合は必ず大腸内視鏡検査を受けるようにしてください。
昨年、那覇市医師会で行った6502人の大腸がん検診受診者のうち、早期の大腸がんと診断されて事なきを得た方が19人おられました。大腸がん検診の精検受診率が50%程度しかないということは同時に、それとほぼ同数の大腸がんと診断されるべき方が必要な二次検査を受けなかったことを意味しています。二次検査は胃腸科を受診しての大腸内視鏡検査となりますが、もし二次検査の予約が取れないという方がいらっしゃいましたら、是非ともかかりつけ医や健診機関にご相談ください。