あなたの険しい顔、まぶたが下がる病気が原因?
松永次郎/松永眼科医院(2019年11月9日掲載)
筋肉の手術で病状改善 ~沖縄県医師会編
あなた最近、細目で眉間にしわがよった難しい顔していませんか? 眼瞼(がんけん)下垂の可能性があります。眼瞼下垂は文字通りまぶたが下がってくる病気です。眼科では眼の病気以外にも眼瞼下垂などまぶたの病気の手術も行っています。ひとえに眼瞼下垂といってもさまざまな病態があり、病態に応じて手術方法が異なります。
【まぶたが上がる仕組み】 まぶたは瞼板(けんばん)という軟骨でできていて、瞼板に眼瞼挙筋、ミュラー筋という筋肉が接着し、この2筋でまぶたを上げています。前頭筋(ひたいの筋肉)もわずかにまぶたを上げる作用をもっています。そのため眼瞼挙筋やミュラー筋が障害され眼瞼下垂になると、残った前頭筋でまぶたを上げようとし、細目で眉間にしわがよった難しい顔になってしまいます。
【代表的な眼瞼下垂の種類と治療法】 加齢性眼瞼下垂50歳前後から発症します。眼瞼挙筋の瞼板への接着がゆるくなった状態で最も多い病態です。手術は眼瞼挙筋を縫い縮める眼瞼挙筋縫着術やミュラー筋を縫い縮めるミュラー筋縫着術を行います。
【腱膜(けんまく)性眼瞼下垂】 眼瞼挙筋と瞼板をつなぐ腱の接着がゆるくなった状態です。コンタクトレンズ装用の若年者に多く、レンズの着脱時に強くまぶたをひっぱると発症します。手術は前述の眼瞼挙筋縫着術を行います。
【動眼神経麻痺(まひ)】 眼瞼挙筋を支配している動眼神経が障害され発症します。脳梗塞や脳動脈瘤(りゅう)などの頭部疾患によって発症します。眼瞼挙筋やミュラー筋の手術で改善することは困難で前頭筋吊(つ)り下げ術を行います。前頭筋吊り下げ術は大腿(だいたい)部の筋膜をとって、筋膜で瞼板と前頭筋を接続する手術です。
眼瞼下垂の手術をしていていつも感じますが、術後、患者さんに大変喜ばれます(白内障手術後より喜ばれているのでは?)。御高齢の患者さんでもキリッと眼が開き、眉間のしわがなくなってとても男前(女前?)になって帰っていかれるのが印象的です。まぶたが下がってお困りの方は専門医にご相談ください。