予防できる子宮頸がん

金城忠雄・沖縄県健康づくり財団(2019年9月13日掲載)

ワクチンの「接種勧奨」再開を熱望 ~沖縄県医師会編

 日本・沖縄産婦人科学会では、子宮頸(けい)がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種に関して、現在、厚生労働省に「積極的接種勧奨」再開を求めてシンポジウムを開き、国民・県民には積極的に啓発活動を行っています。


 1983年に子宮頸がんの原因は「人パピロマウイルス(HPV)」であることが明らかになりました。検診方法も子宮頚部の通常の細胞診に加え、HPVの有無を検査することが勧められています。HPVワクチンも開発され、世界的には2006年に接種可能となり、日本でも2010年に承認されました。接種対象は、HPVウイルスに感染していないと思われる11歳(小6)から16歳(高1)までの女子生徒です。


 ところで、予防接種が一般的に皮下注射であることに比べ、HPVワクチンは筋肉内への接種のため、疼痛(とうつう)が強く思春期の女の子に恐怖感を与えました。接種後の、広範囲にわたる疼痛や体調不良などの症状が大々的に報道されました。HPVワクチン接種による健康被害が訴訟問題になり、2013年、国は「積極的な接種勧奨の差し控え」通達をしています。その結果、沖縄県医療保健部の報告では、公費補助によるHPVワクチン接種が、2011年は3万4445人でしたが、2018年には68人に激減しています。


 沖縄県の子宮頸がん状況は、1年間で上皮内がんも含め458人が初回治療し、死亡数47人に達していて、大腸がん、乳がんに次ぐ多さなのです。子宮頸がんはHPVワクチンで予防できることが分かっているのです。親が娘に子宮頸がんになってほしくないと思うのは当然です。HPVワクチン接種時の疼痛に対し、思春期の少女の痛みの恐怖心を和らげるには、親の愛情とワクチンを接種する医師の丁寧な説明、優しい看護師さんのケアが必要かと思うのです。


 日本・沖縄産婦人科学会は、厚生労働省が、HPVワクチン副反応について、正しい情報を伝え、「積極的接種勧奨再開通達」を発することを期待しています。婦人科専門医として、子宮頸がん患者の死亡がなくなることを願うばかりです。

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