網膜の病気
酒井美也子・浦添さかい眼科(2019年4月21日掲載)
眼科の画像診断が進歩し治療法も向上 ~沖縄県医師会編
成人の失明原因の上位を占める緑内障、加齢黄斑変性症や糖尿病網膜症などは沖縄県においても患者数が多くとても重要な病気です。いずれも早い段階で適切な治療を行うことで病気の進行を遅らせることが可能です。早期発見、早期治療がとても大切です。
緑内障は気がつかないうちに視野が欠けてしまい手遅れになることが多い病気です。加齢黄斑変性症は、物がゆがんで見えることで気がつかれることが多く、進行した場合視野の中心部が見えなくなり極端に視力が落ちてしまいます。糖尿病網膜症は、糖尿病にかかっている期間が長く血糖値が高いと起こりやすい病気です。
実はこれらの病気は全て網膜という目の奥にある神経の膜の病気です。緑内障では網膜の表面に近い網膜神経線維層と網膜神経節細胞層が減ってしまいます。加齢黄斑変性症では逆に深い部分にある脈絡膜や視細胞に病変があります。糖尿病網膜症では網膜の中を走っている血管がもろくなったり、詰まってしまうため網膜の腫れや出血を起こします。それぞれ、網膜の場所や障害の機序が異なります。
こうした病気は眼底検査や眼底写真で診断します。さらに、治療の方針を決めるための詳しい検査には光干渉断層計(OCT)という検査を行います。緑内障では、網膜神経線維層と網膜神経節細胞層の減少をOCT検査で数字化することができます。緑内障にかかっているのか? どの程度進行しているのか? などが分かります。OCTアンギオグラフィという検査では、網膜の血流も画像化することができます。つまり、目の血流も見ることができるのです。加齢黄斑変性症では、原因となる新生血管を見つけることができます。糖尿病網膜症でも、血管が詰まっている範囲を見つけることができるようになりました。
現在でも、薬剤を点滴して行う造影検査も必要となることがありますが、OCTアンギオグラフィ検査でも多くのことが分かります。眼科画像診断の進歩により網膜の病気の診断と治療が変わってきています。