身体のサインは心の悲鳴
長田清・長田クリニック(2019年2月9日掲載)
心を診る心療内科 ~沖縄県医師会編
患者さんはいろいろな症状を抱えて医療機関に来られます。自覚症状は臓器の異常を知らせるサインの一つだからです。その訴えを手がかかりに医師は検査して異常を見つけ治療します。
しかし、いくら検査しても異常が見つからないこともあります。それは身体の症状が、心の悩みや苦しみを訴えるサインのこともあるからです。心というのは人の思いのことで、感情の影響を大きく受けます。感情を抑えていると心の反応にゆがみが生じ、自律神経や感覚器官や筋肉に影響が出て身体にいろいろな症状が出ます。臓器に関連して出るわけではないので、検査しても異常は見つかりません。
心療内科は心を診るところです。心の不調から症状が引き起こされているのではないかと考えます。心を診ると言っても、心には形はありませんので実際には見えません。でも心の反応として現れる感情や行動、そして症状を見ることで、心の有(あ)り様(よう)が想像できるということです。
一般的に思考や感情が行動を生みだしますが、元になるのはその人の価値観です。何が大切で、何を守ろうとしているのか、何にこだわっているのか知ることが重要です。こだわりによって行動がしばられて苦しみ、周囲の人との関係もうまくいかなくなっているのかも。身体のサインは心の悲鳴と見ることもできます。
心療内科で取り組むのは、そんな心の悩みの整理です。考えていることが、間違いであるとか、異常であるという見方はしません。心の整理というのは、こだわり、感情、考え方を見なおしてみることです。何に困っているのか、どうしたら楽になるのかを一緒に考えます。
また、解決できない大きな問題でも、話すことで気持ちが軽くなったり、ちょっとしたアドバイスで気持ちの切り替えができ、楽になることもあります。心が楽になると、不思議と症状もよくなります。
心の取り扱いは難しいものですが、皆さん普段は上手にしています。時たまお手伝いが必要な時には心療内科へお越し下さい。