たかがイボ、されどイボ

金城浩邦・名護皮ふ科(2018年12月18日掲載)

治療は種類や部位で違います ~沖縄県医師会編

 “イボ”という言葉で読者は何を想像するでしょうか。また、イボはどのような病気で、どのような感染の仕方をするのでしょうか。多くの人が知っているようで、具体的にいかなる病気かと尋ねられたら、詳しく答えられる人は意外に少ないかと思います。


 最近、イボのある若い女性の患者さんが受診にいらっしゃいましたが、その方はイボを知らないとのことでした。現代のSNSなどの情報社会の中で多少驚きを感じました。


 それではイボとは何ぞや? 簡単に解説していきましょう。


 イボは、皮膚に限らずものの表面にできた突起物を意味する表現です。国内では各地にイボ取りに関する信仰や伝説があり、昔から大変身近な病気として思われていました。


 (1)尋常性疣贅(ゆうぜい)は俗にいうイボで、沖繩の方言でクチビといわれています。医学的には伝染性疣贅の一種でヒト乳頭腫ウイルス(HPV)が原因とされています。HPVというウイルス感染でおこり、人から人に感染しますが、触っただけでは感染はしにくいです。皮膚粘膜の小さな傷などからウイルスが入り感染します。また、イボは小児に多いとされますが成人も発症します。


 (2)脂漏性角化腫(老人性疣贅)は、俗に年寄りイボといわれ、その名のとおり老人に多いイボです。しかし若い方にも発症します。60代では80%、80代では100%発症するといわれています。まれに悪性腫瘍と鑑別を要することもあります。


 (3)水イボの原因としては、伝染性軟属腫ウイルスにより発症し、多くは小児に感染します。よくいわれるのが、プールでビート板からの感染に気をつけるようにといわれています。水イボは治療が長期化する場合があり、早めの治療が大切です。


 イボの症状がある方は、イボの種類や発症部位によって適切な治療が大切です。お近くの皮膚科や専門クリニックにご相談することをお勧めします。

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