ペット、たばこ、アロマセラピー…発作を起こす環境の排除を

大城征・やえせ子どもクリニック(2018年11月12日掲載)

小児ぜんそくの管理 ~沖縄県医師会編

 2000年に「小児気管支喘息(ぜんそく)治療・管理ガイドライン」が発行されてから、小児の喘息死や長期入院患者数は大幅に減りました。これは早期診断、早期介入によるところが大きく、20歳未満の年間喘息死亡数は1995年の140人から2015年の5人までに減少しています。


 しかし、沖縄県での小児の喘息入院患者はまだまだ多いのが現状です。誘因となるハウスダストやダニの影響も大きく、高温多湿の気候も関与しているものと思われます。


 喘息は発作が起こっていない時でも気道(空気の通り道)の炎症がくすぶり続けている慢性的な疾患です。つまり、ゼーゼーと発作を起こしていないその時こそ管理が必要となるのです。ガイドラインではおのおのの重症度に応じて薬を処方し、長期管理を行っていくのですが、くすぶり続ける気道の炎症さらには体質的な要因もあり、それを抑え込むにはある程度の時間がかかります。数カ月、時には年単位で付き合っていかなければなりません。


 ではいつ薬を減量・中止できるか。それは「発作が少なくとも2~3か月みられなくなるまで」です。喉元過ぎればなんとかで、苦しい発作を乗り切ると、長期管理薬を中断してしまう方が多くみられます。これではなかなかくすぶる炎症を抑えきれず、次なる発作を防ぐことはできません。


 また喘息の発症・発作には環境的要因も大きく関係します。どんなに薬で管理しても、環境がきちんと整備されなければ発作の管理はうまくいきません。具体的には、ハウスダスト・ダニの温床となるぬいぐるみやカーペット、観葉植物、布団、カーテンなどの清掃、毛のあるペットとの共存の見直し、たばこや線香、芳香療法(アロマセラピー)など発作を誘発しうる環境を極力排除する必要があります。ちなみに、たばこは吸い終わった30分後も有害成分を吐き出していると言われます。


 なかなか管理がうまくいかない喘息発作。服薬の継続も大事にしつつ、まずは環境を見直しませんか?

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