ダニが皮膚に寄生…聞くだけでかゆくなる

金森志奈子・那覇かなぐすく皮膚科(2018年10月5日掲載)

「疥癬」に要注意 ~沖縄県医師会編

 疥癬(かいせん)という皮膚病をご存じでしょうか。


 ヒゼンダニというとても小さいダニが皮膚に寄生しておこるとてもかゆい皮膚病です。ヒトからヒトにうつり、乳児からお年寄りまで全ての年代で見られます。


 病型は通常疥癬と角化型疥癬の二つに大別されます。通常疥癬で寄生するヒゼンダニの数は数十匹以下ですが、角化型疥癬では100万~200万匹で感染力の違いが大きいです。感染経路は、通常疥癬は長時間肌と肌が触れるような直接接触が主です。雑魚寝や同室の就寝で感染する場合があります。


 感染してすぐかゆくなるわけではなく、無症状の潜伏期間が1~2カ月あり、その後にかゆい皮疹が現れます。


 皮疹は手首、手掌、指間に赤いブツブツ(小水疱(すいほう)、丘疹(きゅうしん))、疥癬トンネルといわれる1~5ミリ程の長さで幅が0・5ミリ程のごく小さい白っぽい線状皮疹が見られ、特徴的な皮疹です。


 小水疱と丘疹は、腹部や胸、足にも出て激しいかゆみを伴います。小豆大までの褐色を帯びた暗赤色の結節は脇、陰部、臀部(でんぶ)に生じやすく、こちらも強いかゆみがあります。角化型疥癬は、免疫の低下した方に発症し、厚い牡蠣殻様の角質増殖が見られます。


 検査には顕微鏡検査とダーモスコピー検査があり、ヒゼンダニが検出できれば確定診断となります。ただし、ヒゼンダニを見つけることは難しく、流行状況や疥癬トンネルの皮疹など総合的に判断します。


 治療はイベルメクチン内服、外用でフェノトリンローション、イオウ剤、クロタミトンクリームがあります。かゆみには抗ヒスタミン薬を内服します。


 通常疥癬の感染力はあまり強くないのですが、角化型疥癬では多数のヒゼンダニが皮膚角質に存在し、感染力が強いため予防対策が必要です。


 高齢者施設など集団生活の場で疥癬の患者さんが発生した場合、通常疥癬と角化型疥癬の違いを理解し、対策する必要があります。

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