「神経の病気」「大人になって手遅れ」の迷信…

松永次郎・松永眼科医院・院長(2018年9月20日掲載)

斜視は高齢者でも治療可能 ~沖縄県医師会編

 眼は両眼でまっすぐの状態が正常ですが、眼の位置の異常を来す病気が斜視です。小児の病気と思われがちですが、大人の斜視も少なくありません。眼の位置がずれる方向によって外斜視、内斜視、上下斜視に分類されます。斜視は外見や両眼視機能(両眼で物を見る機能)に異常を来します。両眼視機能が障害されると、片眼でしか見えない、二重に見える、立体間隔や遠近感がなくなるなどの症状が出ます。代表的な斜視には次の種類があります。


《外斜視》

(1)間欠性外斜視-眼が時々、外向きになる斜視。
(2)恒常性外斜視-眼が外向きの状態からもどらない斜視。


《内斜視》

(1)乳児内斜視-生後6か月以内に発症する内斜視。
(2)基礎型内斜視-年齢とともにずれ方がひどくなっていく内斜視。
(3)調節性内斜視-遠視に伴う内斜視で、過剰な調節(ピント合わせ)により発症します。
(4)急性内斜視-突然発症する内斜視でスマートフォンの見過ぎが原因になることがあります。


《麻痺(まひ)性斜視》


 頭部疾患(脳出血、脳梗塞、脳腫瘍など)や糖尿病による神経麻痺に伴う斜視。


 さまざまな病態があり、病態に応じた適切な治療が必要です。治療には手術、プリズム(光を曲げるレンズ)療法、視機能訓練、ボトックス眼筋注射などがあります。程度が重いものは手術、軽いものはプリズム療法をし、視機能訓練、ボトックス眼筋注射はこれらの治療の補助です。手術では眼球を動かす筋肉の位置や長さを調節し、眼の位置を矯正します。小児は全身麻酔で、大人は局所麻酔で行います。


 「斜視は神経の病気だから治らない」「子供のころから斜視だから大人になって手遅れ」など、迷信を信じて諦めてしまっている患者さんが多くいます。斜視治療に手遅れはありません。


 高齢者でも治療できます。お悩みの方は専門医へのご相談をおすすめします。

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