進化する乳がん治療

玉城信光・那覇西クリニック(2018年8月23日掲載)

再発転移が早いタイプも薬の治験始まる ~沖縄県医師会編

 乳がんの治療は進歩しています。30年前は抗がん剤の種類も治療方法も少なく、特に悪性度の強いがんにはお手上げ状態でした。しかし、最近がんの悪性度を見る方法がはっきりしてきたのに合わせて薬が開発されています。


 ハーツータイプという乳がんは全体の13%ほどで、かつては進行が早く治療に難渋したがんです。半年前の検診では異常なしだったのに急に腫瘍が出てきます。これは見落としではなく進行の早いがんだからです。そのがんに対し、ミサイル療法的にがん細胞を破壊する薬が最近できたことにより、今では治るがんの一つになっています。


 もうひとつ難しい乳がんはトリプルネガティブというタイプです。これは全体の6%ほどですが、再発転移が早く抗がん剤もあまり効きません。しかし、このがんに対する免疫療法薬の治験が始まりましたので、素晴らしい効果を期待したいと思います。


 新しい免疫療法の効果は目覚ましいものです。森喜朗元総理が自身の肺がん治療をしながら「遺書」という本を出していますが、どうも肺がんは免疫療法薬で治ってきているようで、まだまだ元気に活躍されています。


 がん治療は目覚ましい発展をしています。これまでは乳がんの薬、肺がんの薬という分類だったのが、最近はこの遺伝子に病気のある人にはこの薬が効くというように、これまでのがんの分類が変わってきています。腎臓がんで末期と思われた人が肺がんの免疫療法薬を使用して完治?したらしいと聞いたこともありますが、これらの薬はとても高価です。


 乳がん治療もやっぱり早期発見にはかないません。乳がんを早期で発見すると20年たっても90%再発しないため、医療費も格段に安くなります。早期発見とは2センチ以下で見つけることです。早期に発見すると難しいトリプルネガティブ乳がんも90%近く再発を防げます。


 沖縄県の乳がん検診受診率はまだまだ低い状況ですので、早期発見のために乳がん検診を受けましょう。

このページのトップへ