食事の時間を意識すれば、メタボ予防にもつながる
ながた内科クリニック・長田光司(2018年7月26日掲載)
~沖縄県医師会編
時間栄養学とは体内時計を意識した栄養学です。脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)には1日約24時間の体内時計の中枢があります。また、胃、腸、肝臓、腎臓などの細胞にも末梢(まっしょう)体内時計があり、それぞれの臓器によって周期は異なります。1日は24時間ですが、人間の体内時計は24時間より少し長い周期です。このため、そのままだとズレが生じます。
そこで重要なのが太陽の光です。朝の光が脳の中の中枢時計を刺激し、それにより全身の細胞の末梢時計に対して1日のリセットを命じます。
もう一つ、光に劣らぬ刺激があります。食事です。朝食を食べることで、体内時計のリセット指令が直接各臓器に伝わり、1日24時間のリズムに合わせることができます。朝食には糖質とタンパク質の組み合わせが体内時計の朝の始動に有効です。糖質と一緒に肉、魚、豆腐、卵などタンパク質も一緒に食べましょう。
時計遺伝子が作るタンパク質にBMAL1(ビーマルワン)という物質があります。BMAL1は脂肪細胞で脂肪合成を促進する働きがあり、最も増加するのは夜の10時から深夜2時ごろです。遅い時間の食事が太りやすい原因の一つです。BMAL1が最も減るのは昼の2時から4時にかけてです。甘いものなどの間食はこの時間帯に食べると太りにくいです。
食事時間が乱れるほど体内時計が乱れ、時差ボケのような体調不良や糖尿病など生活習慣病にかかりやすくなります。帰宅が遅く、早い時間の夕食が無理な場合には夕食を2回に分ける方法があります。19時ごろに炭水化物(おにぎりなど)を食べておき、帰宅したら肉や野菜などのおかずを食べます。
運動は午後6時ごろがお勧めです。この時間帯は、エネルギー代謝に関するホルモンの働きが活発です。また食事との関係では、食後すぐの運動が食後の血糖上昇を抑え効果的です。
規則正しい「早寝・早起き・朝ごはん」でメタボ予防をしましょう。