海外渡航前、早めに予防接種の計画を

国吉賢・ファミリークリニック小禄(2018年7月6日掲載)

~沖縄県医師会編

 沖縄から世界各地に留学や仕事で渡航する若い方々は案外多くおられます。その際、日本とは衛生環境などが異なるため、感染防止の観点から予防接種を受ける必要が出てきます。基本は渡航する国の方式や書類上の指定通りに進めることが肝心で、その国がどういった疾患の予防を目的にしているのかを考える必要があります。


 英文の証明書作成はできればかかりつけの医院がよいでしょう。なぜなら「あなたはこの応募者を何年診ていますか」という質問が投げかけられることもあるためです。英文自体は難解ではありません。先生自身やお子さんに留学経験があればなおよいでしょう。


 早めに予防接種の計画を立てることが大切ですが、現地での接種も可とされることもあります。まず、母子手帳やこれまでの接種記録を準備します。


(1)ワクチン接種歴、回数を整理する。


 任意接種のワクチンの場合、記入欄が小さい母子手帳では見逃しやすいので注意。ワクチンの名称も間違えやすいので注意が必要です。


(例)風疹・三日はしか(Rubella)、麻しん・麻疹・はしか(Measles・Rubeola)など。


 また、日本の3種混合(DPT)で海外の青年~成人向けの3種混合(Tdap)の代用は基本認められていません。


(2)渡航先が要求するワクチンの種類、接種回数などを確認する。国や地域で要求される基準が異なる。


(3)結核、ツベルクリン反応検査の有無を確認する。乳児期の検査は無効。ツ反陽性(硬結で判定、10ミリ以上)の場合、エックス線等で結核を除外する。


(4)できればかかりつけの医療機関を受診し、ワクチンの過不足を確認する。電話だけでの相談は難しい。


(5)可能なら抗体検査をし、不足しているワクチンのみ追加するのが理想。意外と免疫がないことも多く、免疫のある場合でも、数値が低ければ追加接種しても問題ありません。


 本人だけに任せず、保護者の方も一緒に早めの準備が大切です。

このページのトップへ