“百薬の長”も適量を

新城憲・形成外科KC院長(2018年5月17日掲載)

ワインは1日2杯まで ~沖縄県医師会編

 古来“酒は百薬の長”と言われてきました。世の中には、数多くのお酒が存在しますが、中でも歴史が最も古いもののひとつがワインです。黒海とカスピ海の中間に位置するジョージア(旧名グルジア)では、8千年前からワインが造られていたと最近の研究で認められています。今日も、世界の最も多くの地域で飲まれているお酒はワインと言えます。


 近年、日本のワイン消費量は過去最高を更新しています。今なぜ、ワインが人気なのか?背景には、安くておいしいワインが手軽に入手できるようになった面とともに、『健康に良い』というイメージが挙げられます。「フランス人は喫煙率が高く、バターや肉などの動物性脂肪の摂取量が多いのに、心疾患による死亡率が低い」という事実は、“フレンチ・パラドックス”として知られています。その理由として、1990年代後半に、赤ワインの抗酸化物質ポリフェノールの効果が大々的に取り上げられ、爆発的なワインブームにつながりました。


 その後も赤ワインの健康効果について多くの疫学研究結果の報告があります。具体的には(1)血管の機能を改善して心臓や腎臓の健康を助ける(2)肥満、糖尿病およびメタボリック症候群を改善する(3)認知機能や精神的健康を改善する(4)免疫応答や感染防御を高める-などのうれしい効果が期待できます。しかし過ぎたるは及ばざるがごとし。大切なことは飲酒量です。世界保健機関は適正飲酒の定義を「個人にとって医学的な安全量を責任ある方法で飲むこと」とし、日本アルコール健康医学協会は、ワインは1日2杯までを食事と共にゆっくり取ることとしています。


 「ワインを飲むと健康になれるか?」。私の心は、“YES!”です。ワインの味には、生産地の歴史と風土、造り手のこだわりが大きく反映されます。そのことに思いをはせながら、世界共通言語とも言えるワインを通して、地球のどこでも、楽しく語らい、おいしく食事をし、そして、豊かに、人生を楽しめるならば、おのずと身も心も健やかになると信じるからです。

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