アレルギー性鼻炎、免疫療法が出現したけれど…

屋宜晃・やぎSUNクリニック(2018年3月16日掲載)

~沖縄県医師会編

 医学は日々進歩していて、特に免疫学の進歩は著しい。いわゆる免疫調節薬の登場により新しい治療法が出現し、関節リウマチの治療では、以前は痛みを抑える鎮痛剤が主要な治療法でしたが免疫調整薬の使用で関節の変形が抑えられるばかりか治癒に近い状態にまで治せるようになりました。気管支喘息(ぜんそく)においても吸入ステロイド治療の普及により、日本での喘息死亡者数は、1995年が7523人でしたが2014年には1550人まで減少しています。


 アレルギー性鼻炎では、長らく抗ヒスタミン薬が治療の柱でしたが、アレルゲン舌下免疫療法が出現し、ようやく根本的な治癒が目指せるようになってきています。毎年2月中旬から3月にかけて、本土ではスギ花粉の飛散のため、多くの人がアレルギー性鼻炎に悩まされています。


 幸いにも沖縄ではスギ花粉の飛散が確認されておらず、従ってスギ花粉の患者さんもほとんどいません。しかし沖縄では高温多湿な環境のため家ダニが原因のアレルギー性鼻炎の患者さんが多くみられます。


 スギ花粉症は花粉が飛散する春先のみ症状が出るのに対し、ダニが原因の場合は通常一年を通して鼻炎症状が続くことになります。家ダニによるアレルギー性鼻炎では、まず布団などに掃除機をかけダニを減らすことが大切ですが、現実的にはダニをゼロにすることは難しく、花粉症と同じく治療薬として抗ヒスタミン薬を使用します。


 抗ヒスタミン薬も次々と新薬が開発され、眠気が少なく1日1回程度の服用で済む、飲みやすい薬が出てきていますが、服用を中止すると症状が元に戻るという欠点がありました。


 舌下免疫療法は根本的な治療を目指すことができ、服用を中止しても効果が持続することが認められています。一方で、鼻閉が強いアレルギー性鼻炎の場合には薬物治療が無効な場合が多いため、手術療法を選択せざるを得ないことになります。従ってこれからのアレルギー性鼻炎の治療は手術・薬物治療・舌下免疫療法を組み合わせて治療していくのが良いと思われます。


 しかしこの舌下免疫療法でもアナフィラキシー等の副反応があり、特に口腔(こうくう)内の局所反応は高頻度にみられます。治療効果がない人も十数パーセントいます。そのため舌下免疫療法を始めるに当たっては、かかりつけの耳鼻科医とよく話し合い、治療が長期にわたることを理解して始めることが大切だと思います。

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