希少な血液「Rhマイナス血」有事に備えを

竹井太/うむやすみゃあす・ん診療所(2018年3月2日掲載)

~沖縄県医師会編

 皆さん、血液型にABO式血液型(A型、B型、AB型、O型)がある事はご存じのことと思いますが、Rh式血液型をご存じでしょうか?


 Rh血液型は、Rh因子の保有の有無で陽性(プラス)、陰性(マイナス)と判定され、そのマイナス者数がまれであるため、輸血の確保が問題になっています。


 現在、日本赤十字社の献血センターなどを中心に輸血の確保がされていますが、希少血液とされるRhマイナス血のストックは確保されていません。特に離島では献血センターの設置はありませんし、非常時には島内の病院ストックと空輸による血液搬送に頼るしかありません。


 日本ではRh血液型マイナスの方は全人口の0・5%と言われており、ABO式血液型の比率で計算するとA型0・2%、O型0・15%、B型0・1%、AB型0・05%となっています。


 例えば、宮古島のような離島で換算してみますと人口約5万5千人として、270人、内訳はA型110人、O型83人、B型55人、AB型28人がそれぞれの該当数です。そのような環境下で夜間に交通事故があり、重症腹部外傷のため、2リットルの血液が必要な患者さんが出た場合、1人当たり400ミリリットルの供血を受けるとし5人の供血者が必要です。するとA型2500人、O型3300人、B型5千人、AB型1万人の方が集まっていただかないと血液の確保ができません(もちろん集まった人全てが献血可能なことが前提です)。


 夜中にこれだけの人数が来ていただくこと、さらに多数の方の検査ができる場所があるでしょうか? このような条件の中、例えば宮古島ではAB型の方などは28人の方から5人の供血者を募らないとなりません。どうすればいいでしょうか?


 実は宮古島では13年前から「Rhマイナスの会」が立ち上がり、お互い緊急時に支援しあえる環境が作られています。現在110人の会員登録があり、非常時に備えています。一昨年、石垣でも八重山病院がRhマイナス血の確保に乗り出されました。


 現在、沖縄では年間1万7千人が産声をあげます。かつては出生時血液型判定が行われていましたが、今は出生直後の血液型判定は不確実であることから、血液型判定がされなくなり、ご自身の血液型を知らない方が増えています。しかし前述のようなことが想定され、比較的簡単にできる判定が有事の際の安全につながるとしたら、その意味を考え直してみることも必要かもしれません。あなたの大切な人は大丈夫ですか?

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