若者も胃カメラ受診を
安次富聰・いちょう内科あしとみ(2017年12月8日掲載)
ピロリ菌と鳥肌胃炎 ~沖縄県医師会編
ピロリ菌とは何でしょうか? ピロリ菌はほとんどの人(約80%)で家族から経口感染します。ただし、7歳以上になるとほぼ感染しません。ピロリ菌がいると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃炎などになり、長期間の経過で胃がん、胃悪性リンパ腫、血液病などに関与します。
そのために胃カメラで胃炎や潰瘍が見つかったら、ピロリ菌の検査を勧めます。検査は採血(ピロリ抗体)、便(ピロリ抗原)、尿素呼気試験、胃組織採集(生検)などで行い、除菌前後に2種まで認められています。
まれに若い人にピロリ菌を伴った鳥肌胃炎が出るタイプがあります。鳥肌胃炎とは、胃の中に鶏の毛をむしり取った後の鳥肌のように小粒隆起が密集した状態です。この鳥肌胃炎は通常の胃がんよりも、悪性度が高い胃がんを伴うことが多くみられるのです。
10代から30代前半の女性(最近では男性や年少児での報告もあり)に多く、初期では胃部不快など症状がないことが多いです。
両親やきょうだい、親戚の方に胃がん患者がいたとか、検査でピロリ菌が見つかったことなどの場合や、自分自身の胃部不快感が続くようなら、若くてもぜひ胃カメラ検査を受けてください。
ある症例発表では、鳥肌胃炎の胃がん発見率は4・7%(150例中)です。若年同年齢層(ピロリ菌を伴った非鳥肌胃炎)と比べると、鳥肌胃炎は64倍の胃がん発見率です。
もし検査の結果でピロリ菌が胃の中にいると診断され、以下の項目に納得したら、除菌をお勧めします。(1)若い時に除菌するほど胃がんの発生が抑えられる(2)胃・十二指腸潰瘍の再発が減る(3)ピロリ菌は6歳未満に家族(ほぼ母親)などからうつるが、たまに井戸・天水なども感染源となる(4)ピロリ菌の除菌による副作用は主に下痢(10~30%)。
除菌後2カ月以降にピロリ菌が消滅したかどうか、2種(尿素呼気試験、便ピロリ菌抗原)検査で必ず確認してください。
それでも、ピロリ菌を持っているからといって胃がんになるのは全体で約10人に1人です。除菌後は1年から2年に1度、胃カメラの定期検査を勧めます。
そして日常からストレスをためずに、香辛料を減らし、早食いをせずによくかんで食事をし、たばこを吸っている方は禁煙を心掛けましょう。
気になることがあれば、近くの胃腸科に相談してください。その時は検査結果を忘れず持参されるとよいでしょう。