頻尿は原因見極め、適切に治療を
砂邊毅 砂辺腎・泌尿器科(2017年10月13日掲載)
~沖縄県医師会編
おしっこの回数が多いことを頻尿といいます。日中7回、夜中1回程度トイレに行くのは正常範囲ですが、それ以上の回数がある場合は頻尿です。
頻尿の原因はさまざまです。よくあるのは過活動膀胱(ぼうこう)といい、おしっこが十分たまっていないのに急にトイレに行きたくなって我慢ができず(尿意切迫感)、間に合わずにもれてしまうような状態です。1回のおしっこの量は少なく、回数が多くなります。前立腺肥大症や、脳卒中・パーキンソン病などの脳や脊髄の病気などで発生しますが、原因不明のこともよくあります。治療としてはおしっこの出をおさえる抗頻尿薬を内服します。
過活動膀胱とは逆に、膀胱におしっこがたまっているのに、全部出し切れず何回もトイレに行ってしまう頻尿もあります。1回の量が少なく、何回もトイレに行ってしまいます。おしっこをした後の残尿が100ミリリットル以上になると治療が必要です。残尿が増える原因としては、前立腺肥大症や、糖尿病・腰部椎間板ヘルニア・腹部の手術などにより神経が傷ついてしまうことがあげられます。おしっこを出やすくする薬(α1ブロッカー)の内服から始めます。
最近、テレビなどの影響で熱中症対策として水分を取りすぎているため、いつのまにか頻尿になっているという方が驚くほどたくさんいらっしゃいます。1回のおしっこの量は正常なのですが、何度もトイレに行ってしまいみなさんお困りです。普通の生活では脱水にならないため1日1・5リットル程度の水分は取る必要がありますが、それ以上飲んでもおしっこに出るだけで熱中症の予防効果はありません。一般的に大人は1日1・5~2リットルのおしっこをしますが、なんと1日6リットルもしていた方がいらっしゃいました。この場合、水の量を減らすことで頻尿は改善しますので、ご自身に合った水分摂取量を泌尿器科専門医にご相談ください。
その他、膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染症が起こると、膀胱が刺激されて頻尿になります。また、膀胱がんや前立腺がんの場合でも頻尿がみられることがあります。
このように頻尿は一つの病気ではなく、いろいろな原因で起こる症状の集まりで、治療法はさまざまです。エコーで残尿を確認する必要があり、適切な治療を行わなければ症状をさらに悪くすることになります。気温が下がってくると頻尿は悪化しますので、寒くなる前に対処しておくことをお勧めします。回数が多くなくてもおしっこで困っている方への治療も行います。頻尿がある方、良くならずにお困りの方はぜひ泌尿器科専門医を受診してください。