「更年期」上手に乗り切るために…

多和田利香・Fクリニック沖縄(2017年9月29日掲載)

時には自分を甘やかすことも大切 ~沖縄県医師会編

 女性は40歳を過ぎるころになると、卵巣の働きが少しずつ低下してきます。その結果、女性ホルモンのバランスが崩れ、月経周期の乱れや心身にさまざまな不調があらわれるようになります。少しさみしい気持ちになるかもしれませんが、多くの女性は45~55歳の間に卵巣の機能が停止し、閉経を迎えます。この閉経前後5年ずつの10年間を「更年期」といいます。


 更年期にはエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が急激に減少することで、顔のほてり、のぼせ、発汗、動悸(どうき)、めまいなどの身体的な症状や、不眠、気分の落ち込み、イライラなど精神的な症状がみられるようになります。このような症状を「更年期症状」といいます。更年期症状のあらわれかたや強さには個人差があり、ほとんど不調を感じない人もいれば、とても強く感じる人もいます。なかでも仕事や家事など日常生活に支障をきたしてしまうほど重いものを「更年期障害」といいます。


 なぜエストロゲンが低下するとさまざまな不調が見られるようになるのでしょうか。更年期前の女性はエストロゲンの存在を前提として体の機能がちょうどいいバランスを保つように調整されています。ですが、更年期になりエストロゲンが急激に減少してくると体は新しい環境にあった調整が必要になります。この調整がうまくいけば問題はありませんが、変化にうまく対応できない状態になると体のあちこちのバランスが崩れ、それが不調としてあらわれるようになります。この変化にうまく対応できる人は不調をほとんど感じませんが、そうでない人は更年期障害になってしまうということになり、更年期症状のあらわれかたや強さに個人差が出てくるのです。


 更年期を上手に乗り切るためには、体の新しい環境にうまく対応できるようになることです。まず生活環境をできるだけ快適にし、ストレスをため過ぎないことが大切です。更年期障害を発症しやすいタイプとして、真面目できちょうめんな人、くよくよして落ち込みやすい人など、普段からストレスを抱え込みやすいタイプの人が挙げられます。そのような方は、少し心をゆるめて時には自分を甘やかすことも大切です。趣味を楽しんだり、運動やアロマセラピーなどでストレスを解消するのも効果的です。それでも辛い時は婦人科で相談してください。ホルモン補充療法で、少しエストロゲンを補充することで体の環境の変化は緩やかになりますし、漢方薬で心と体のバランスをとることで新しい体の環境にスムーズに対応できるようになります。

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