脳卒中の後遺症「痙縮」と、安定歩行を支援する装具
滝吉優子・南部徳洲会病院(2017年9月15日掲載)
~沖縄県医師会編
脳卒中になると、脳のどの部分が病気になるかでさまざまな症状が出ます。
動くことに影響がでる手足の麻痺や感覚の障害、ふるえ、筋肉のつっぱり。食べたり飲むことに影響する嚥下(えんか)障害、排泄(はいせつ)に影響する神経因性膀胱など。
他には、高次脳機能障害と言われる、言葉を話したり理解が難しくなる失語症、集中したり注意を切り替えたりすることが難しくなる注意障害。道具がうまく使えない観念失行、人の顔が分からなくなる相貌失認、自分の病気の状態を認識できない病態失認など、さまざまな障害が、損傷部位に応じてでてきます。
今回は、脳卒中後遺症として生活に影響の大きい「痙縮(けいしゅく)」と「装具」をとりあげてゆきます。
「痙縮」とは、後遺症として多い手足のつっぱりです。肩、肘、手、または、足のつけね、膝、足首がつっぱることで、着替えが難しい、関節が動かしづらくなる場合があります。
手をぎゅーっとにぎり込んでしまうと開かなくなったり、足が内返し(内反(ないはん))になると歩きづらくなったりします。対策として、リハビリでは、ストレッチや起立台という装置で伸ばしたり、振動刺激で抑えたりします。
よりよい動かし方や歩き方で抑えられることもあります。
薬では筋弛緩薬という飲み薬や、ボトックス注射、バクロフェン持続髄注療法という薬のポンプの埋め込みをする場合もあります。
「下肢装具」とは、脳卒中後の麻痺とつっぱり具合に合わせて、つえなどの補助具だけでなく、よりよく歩けるように手助けする道具です。
脳卒中後よくあるのが、膝が反り返ったまま(反跳膝(はんちょうひざ))、足の内返し、垂れ下がったまま(下垂足(かすいそく))などの手足の変化です。そうすると、歩く速さや安定性に影響が出て、歩き方が変わります。
その場合は装具を作って、より安定し、より活動的に生活できるように応援します。
下肢装具は義肢装具士と連携して作成し、初めは医療保険、慢性期には身体障害者手帳を利用して再作成していきます。
耐用年数はプラスチックだと1・5年、金属支柱付だと3年程ですが、作成後何年もたっても慢性期に移行した際の再作成の仕組みを知らないまま、困っている方も結構いるようです。
困ったことがあったら、まずは装具を作ってくれた義肢装具士に相談してみてください。