腰痛・下肢痛、原因に応じて治療法11段階

平良豊・牧港クリニック「痛みの治療センター」(2017年6月23日掲載)

~沖縄県医師会編

 腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症や腰椎椎間板ヘルニアでは腰や下肢の痛みが起こります。内服薬やリハビリで痛みがよくならない患者さんがペインクリニックを訪れます。


 ペインクリニック専門医は痛みの原因を探るための検査を行い、次に選ぶ治療法を探します。


 痛みの原因はさまざまなので、一律に同じ治療法ではなく、原因に応じた治療を選ぶ必要があります。


 最初に行う治療は(1)仙骨部硬膜外ブロックです。この方法は神経ブロックのなかでは比較的安全で技術的にも容易な注射法です。


 約半数以上の患者さんはこの方法だけで治りますが、よくならない場合は図にあるような(2)~(11)のステップがあります。


 ペインクリニックでの治療にも限界があり、状況によっては整形外科での手術をお勧めすることもあります。


 ここでは現在ペインクリニックで行っている検査や治療法について説明します。


 (2)腰部硬膜外ブロック…腰の部分からの注射でより患部に近い場所に薬を注射できます。


 (3)神経根ブロック…レントゲン(エックス線)透視装置を使って手術室で行います。主に下肢の痛みが強い場合に行います。


 (4)硬膜外腔造影…硬膜外腔に造影剤を注入し神経根周囲の癒着や神経圧迫の具合を検査する方法です。


 (5)椎間板造影…椎間板の中に造影剤を注入してヘルニアの有無や椎間板圧の変化で痛みが誘発されるかを検査する方法です。


 (6)椎間関節造影…レントゲン透視装置を使って椎間関節に注射をします。


 (7)硬膜外内視鏡…内視鏡を使って硬膜外腔の神経周囲の癒着を剥がして痛みを軽減する方法。


 (8)Raczカテーテルによる神経形成術…特殊なカテーテルを原因神経の近くに挿入して神経周囲の癒着を軽減する方法。


 (9)経皮的椎間板減圧術…椎間板に特殊なカテーテルを挿入して椎間板を摘出または蒸散させる方法。


 (10)後枝内側枝高周波熱凝固…腰痛の原因神経に熱を加えて痛みを感じなくする方法。


 (11)脊髄刺激電極植え込み術…脊髄近くに電極を挿入して、体内に植え込んだ刺激装置に接続して痛みを軽減する方法。


 以上のようにペインクリニックの治療法には多くの選択肢があります。


 一つの神経ブロックで治らないからといって諦めないで、専門医とよく相談してください。

このページのトップへ