目薬は正しく使いましょう

長嶺紀良・諸見眼科(2017年5月12日掲載)

1回1滴、1日6回で十分 ~沖縄県医師会編

 町のドラッグストアにはさまざまな目薬が棚に陳列されており、最近では高級志向の目薬まで見かけるようになりました。目薬は誰もが1度は手に取って使ったことがある身近な薬のうちの一つです。しかしながら、正しい使用方法は意外と知らない方も多いのではないでしょうか。


 目薬を1回で2~3滴程度使用している人を時々見かけますが、洗浄目的以外は1滴で十分です。目薬の1滴の量は約0・03~0・05ミリリットルであるのに対して、まぶたに保持できる量は0・02~0・03ミリリットルであるため1滴でもあふれてきます。あふれた点眼液は清潔なガーゼやティッシュでふき取ってください。まぶたについた薬液を放置しておくと色素沈着やかゆみなどの皮膚症状の原因にもなります。


 また、点眼後は点眼液をしみこませるため目をパチパチする人がいますが、点眼液があふれてしまう原因になります。点眼後は目を閉じて、指で軽く目頭を押さえ薬液が鼻に流れでないようにすることが重要です。目薬が鼻やのどに過剰に流れると副作用につながるおそれがあります。緑内障に対する目薬の中には喘息(ぜんそく)や心疾患を引き起こす可能性のものもあり注意が必要です。複数の目薬をさす場合は、連続して点眼すると前の目薬の効果が減弱してしまうので5分以上間隔をあけて点眼してください。


 多くの目薬には防腐剤が入っていますが、目薬の使用回数が多いと防腐剤の影響で角膜(黒目)に傷がついたり結膜(白目)に炎症を起こしたりする場合があります。多くても1日6回程度が無難です。目の乾燥などでどうしても頻回に点眼したい場合は、防腐剤の入っていない目薬を選ぶといいと思います。


 防腐剤が入っている目薬でも使用期限があります。市販されている目薬は開封後1~3か月、病院などで処方されたものは1~4週間以内です。点眼するときにまつげやまぶたに接触して容器が雑菌に汚染されている可能性は否定できませんので、防腐剤が入っているからといって安心してはいけません。他人と共有するのもやめたほうがいいでしょう。


 保存方法は高温や直射日光を避ければ常温(1~30℃)でかまいません。冷蔵庫での保存も可能ですが凍結しないところに置くのがいいでしょう。目薬の中には開封前は冷暗所保存、開封後は常温保存可能のものもあり説明書あるいは処方された医師に確認したほうがいいこともあります。


 市販の目薬を使用しても症状が改善しない場合は近くの眼科医に相談しにいきましょう。

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