関節の動き、子どもと確認を

久光淳士郎・沖縄こどもとおとなの整形外科(2017年4月14日掲載)

学校での運動器検診 ~沖縄県医師会編

 2016年度より小学校、中学校、高校の内科健診に運動器検診が加わりました。運動器というのは、骨、関節、靱帯(じんたい)、神経などを意味しています。従来はこの領域の検診は側弯(そくわん)症の項目だけでしたが、腰を前戯に曲げて痛みが出ないか、片足立ちでふらつかないか、かかとをつけたまましゃがめるか、肘の曲げ伸ばしに問題がないか、両手を挙げた時に腕が耳につくか、など5項目が追加されました。


 具体的な疾患としては、野球肩、野球肘、脊柱側弯症、腰椎分離症、ジャンパー膝などや体の硬い子などをイメージしています。『最近の子供はすぐ骨折する』や『転んだ時に手が出ずに頭を打ってしまう』など、生徒・児童に何かが起こっているのでは? という疑問からこの検診が始まったと聞いています。検診は基本的に以下のような流れで行われます。


 運動器検診の前に学校から調査票が配られ、学校から調査票を持ってきたら、お子さんと一緒に体の動きを確認してください。家庭では、なかなか改まってお子さんの体の状態を確認することは少ないと思います。調査項目にチェックが入ると、まず学校で担任や養護教諭が確認し、必要があれば内科健診時に学校医等が確認いたします。学校医が確認し、もう少しよく診てもらったほうが良いといわれた場合は、2次検診として整形外科専門医を受診するようにお知らせが渡されます。2次検診を勧められるのか、経過観察になるのかには、基準があります。


 大まかに説明すると、腰や関節を動かしたり押すと痛みが出る場合。また明らかに関節の動きが硬い場合等です。側弯症検診は今までにも行われていましたが、左右の肩の高さの違いや、前屈した時に背骨が左右に曲がっているかなどです。ただし現在整形外科を受診している生徒は除かれます。


 日本全国の学校(対象生徒は約1300万人)にアンケートを行った結果、2016年度に学校医が2次検診の受診を勧めた生徒は全生徒の2・2%でした。このうち整形外科専門医の診察で学業に支障があると診断されたのは全生徒の0・11%でした。一番多かったのは脊柱側弯症でした。驚くべきことに、この中には発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)、ペルテス病や大腿(だいたい)骨頭すべり症なども少数ですが診断されています。


 学校から整形外科を受診してくださいと書類をもらったら、必ず整形外科専門医を受診してください。整形外科専門医の探し方は、日本整形外科学会のホームページから検索することが可能です。

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