緊張型頭痛とストレス
原信一郎・はらクリニック(2016年7月29日掲載)
~心身へアプローチが大切 沖縄県医師会編
頭痛は、誰もが経験する病気ですが、大きく分けると片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛などは一次性頭痛、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍、髄膜炎、側頭動脈炎、緑内障などの病気に伴う頭痛は二次性頭痛と言います。
急激に起きた強い頭痛、日がたつごとに強さが増す頭痛、手足のまひなどの症状や発熱・嘔吐(おうと)・眼の症状を伴う頭痛、発熱や首が硬くなるなどの症状を伴う頭痛は、二次性頭痛の可能性があります。
このような場合には、生命にかかわることや手術などの治療が必要になることもありますから、病院に受診し頭部CTやMRIなどの検査を受けたほうがいいでしょう。
一方、一次性頭痛で生命を落とすことはありませんが、毎日のように悩まされている患者様もいて、これにより生活の質を落とすことにもつながるため、治療が必要になることもあります。
緊張型頭痛は、この一次性頭痛のひとつで、3割以上の人が一生に1度は経験すると言われています。女性に多くみられます。
「重苦しく、締め付けられるような頭痛(片頭痛のような心臓の拍動に一致した痛みはない)」で「はちまきをしているような」、「帽子をかぶっているような」痛みと表現する方もいます。
後頭部や頭全体、両側のことが多く、前兆はとくになく、片頭痛のような嘔吐もありません。持続時間は30分から7日間と幅があり、入浴や運動、飲酒により楽になることが多いと言われています。
緊張型頭痛の発症と増悪には、過労、睡眠不足、前かがみのうつむき姿勢、歯に関する異常などが関与することがありますが、最大の要因は心理社会的なストレスです。
学校、家庭、職場における人間関係に伴う不快・不安などが解決されずにストレスが持続して緊張している場合には、筋肉が緊張し緩まなくなり頭痛を感じるようになります。
したがって、その治療にあたっては次のような心身両面からのアプローチが大切です。
すなわち(1)姿勢に注意をする、適当な枕を選ぶ、ぐっすり寝る、適度な休憩をとるなど日常生活の改善(2)筋肉の緊張や不安を取り除く薬物療法(3)自律訓練法などのリラクセーション(4)認知行動療法(ストレスに適切に対処できるよう考え方や行動を変えていく心理療法)などを統合した心療内科的治療が必要になってきます。
なお、頭痛を治すため、薬を飲みすぎてかえって頭痛を起こしてしまう「薬物乱用頭痛」にも注意が必要です。