糖尿病
辺野喜 英夫・辺野喜内科・小児科(2016年6月10日掲載)
食事・運動療法が大切 ~沖縄県医師会編
糖尿病とは、膵臓(すいぞう)で作られるインスリンというホルモンの作用不足により、慢性的に高血糖になった状態です。放置するとさまざまな臓器に合併症が起こる危険性があります。我が国の糖尿病患者数は950万人、糖尿病予備軍は1100万人で合わせて2050万人です。60歳以上では2~3人に1人が該当します。糖尿病は自己免疫異常により、インスリンを合成する膵ベータ細胞が破壊され、インスリンが絶対的に欠乏し、高血糖となる1型糖尿病と遺伝的に糖尿病になりやすい体質の方が、糖尿病になりやすい生活習慣を送ることでなる2型糖尿病、その他の疾患に伴う糖尿病、妊娠糖尿病に分けられます。
ここでは糖尿病の98%以上を占め、40歳以降に起こりやすい2型糖尿病について述べます。軽症の糖尿病は自覚症状がみられないことが多く、特定健診等の健診を受け早めに発見する必要があります。糖尿病の診断は血糖、ヘモグロビンエーワンシー、糖尿病網膜症等を使い診断基準で判定します。高血糖の状態が続くと最小血管が障害され、重症化すると失明する網膜症、人工透析が必要となる腎症や足が壊疽(えそ)になる神経障害。大血管が障害されると心筋梗塞や脳卒中を起こす可能性があります。糖尿病治療では血糖をコントロールし合併症の発生と進行を抑えます。
そのためには食事療法・運動療法・薬物療法が必要です。血糖値はヘモグロビンエーワンシーで通常6%または7%未満、体重は肥満でも痩せでも高血糖になる可能性があり、体格指数(BMI=体重kg÷身長m÷身長m)で18・5~25を目標とします。
食事療法・運動療法を始める時は必ず主治医と相談してください。食事は腹八分目、一口に20回以上かんで、野菜から食べ始め、夕食は寝る3時間前までに済ませます。よくかんで時間をかけて食べると血糖の上昇が満腹中枢を刺激します。また咀嚼(そしゃく)により咀嚼筋が刺激され、脳内にヒスタミンの分泌を促し、満腹中枢を刺激します。栄養バランスのとれた食事が原則ですが、少し減らしたい時は糖質制限が減量、脂質・血糖改善に効果的です。
運動では有酸素運動のウオーキングがお手軽です。細切れでも構いません。1日8千歩程度、強度は脈拍で59歳以下毎分120、60歳以上毎分100程度。筋トレはスクワット等を息を止めずに週2日以上。運動時はもちろん通常でも低血糖用にブドウ糖・砂糖を携帯しましょう。糖尿病薬は近年多種の薬が開発されコントロールしやすくなりましたが、主役は食事療法・運動療法です。