頻尿

山田博彦・古堅南クリニック(2016年6月3日掲載)

トイレ回数増は疑いを ~沖縄県医師会編

 今おしっこをしたばかりなのに、すぐにまたおしっこがしたくなってトイレに行ってしまう。最近いつもよりトイレに行く回数が多いかなと感じたら頻尿かも知れません。1日の尿の回数は個人差がありますが、起きている間は6~8回ぐらいの人が多いようです。でも回数ではなくいつもよりトイレに行く回数が多くなっていれば、「あっ頻尿」だと考えて下さい。


 その頻尿の原因となる病気はたくさんあります。普段外来で最も多いのは尿路感染症で、女性では急性膀胱(ぼうこう)炎です。帯下が多い、便秘が続く、寝不足、生理と体調不良が重なる、性行為等が原因となります。排尿時の痛みや下腹部の不快感、頻尿、血尿等の症状が出てきます。原因となった菌に合う抗生剤を内服して下さい。


 男性では前立腺の病気です。前立腺は膀胱の出口にあり、精子を保護する精液をつくる臓器なので男性にしかありません。ここに菌が入って起こる前立腺炎や男性ホルモンの影響で前立腺が腫れてしまい、中を通る尿道を圧迫していろいろな症状が出る前立腺肥大症、そして遣伝性疾患といわれる前立腺がんがあります。その他では糖尿病、脳や脊髄の病気、薬剤性、心因性、唾眠障害、尿路結石、膀胱腫瘍、下腹部の手術後等でも頻尿が起こることがあります。病気ではありませんが、妊婦さんも子宮が大きくなると膀胱が圧迫されてて頻尿になることがありますね。


 最近テレビなどでよく話題になる過活動膀胱も忘れてはいけません。この病気は膀胱に尿がたまると、勝手に収縮が始まり尿を我慢することが難しくなるので、頻尿になります。急にトイレに行きたくなり、ズボンを下ろそうとしている間に尿が少し漏れてしまう等の尿意圧迫感が出てきます。嫌な症状ですね。


 夜間頻尿も重要な症状です。時々外来で過活動膀胱の薬を飲んでいるのに頻尿を訴えて受診される患者さんがいます。膀胱に尿がたまりすぎて尿を全部出し切れなくなり尿が残っているのです。感染がないかを確認しますが、このような患者さんは残尿があるので過活動膀胱とは逆の作用をする薬が必要になってきます。先に話した前立腺肥大症で過活動膀胱の症状に対してまれに薬を使うことがありますが、とても慎重に経過を診ながら内服してもらっています。


 頻尿にはいろんな原因があり、中には命とりになるような病気も潜んでいます。気になる症状のある方は1度泌尿器科を受診して下さい。沖縄県には本当にすてきな泌尿器科の先生がたくさんいますよ。

このページのトップへ