自覚症状ない爪水虫

金城浩邦・名護皮ふ科(2016年3月18日掲載)

 爪水虫(つめみずむし)とは? 長期にわたって治らない水虫! 繰り返す水虫の原因は、実は爪にある場合があります。爪水虫は知らない間に家族の間で感染することもあります。爪白癬(はくせん)は主に白癬菌という真菌で、真菌群の中でも第1位はTrichophyton rubrumが80~90%原因となる感染症です。手、足白癬の約20%に合併し、年齢的には30~50歳、高齢者までしばしばです。手足の爪に感染した白癬菌が増殖し、爪水虫という真菌症が発病します。自覚症状が無いために爪の変形、色調の変化が出現して初めて気付く場合が大部分です。


 感染源としては爪水虫の方が履いたスリッパや浴室の足拭きマットなどを経由して家族に感染する恐れもあります。足の爪が白濁していたり、ボロボロに欠けていたら爪水虫の可能性大です。


 爪白癬菌の治療法としては、原因となる白癬を退治する抗真菌薬の内服と外用法があります。


 日常で気をつける予防方法として(1)手足をきれいに洗い乾燥させましょう(2)靴は蒸れにくい物、靴下は5本指ソックスなど、通気性の良いものを履くように心がけましょう(3)軽石や硬めのタオルで頻繁に強く擦ると、肌を傷つけ、菌が入りやすくなることがあります(4)毎日同じ靴を履かないでください。また、ぬれた靴を長時間履く事も感染源であるので乾燥させることも大切です。家族にうつさないために室内も清潔に保ちましょう。浴室の足拭きマットやスリッパ、サンダルの共用は避けましょう。なお、洗濯は別々にする必要はありません。水虫は切った爪や剥がれた足の皮にも生存しているのでこまめな掃除を心がけましょう。爪水虫のチェックは(1)毎年水虫を繰り返している(2)爪が白く、または黄色く濁っている(3)爪が厚くなって靴が履きにくい(4)爪がもろく、ボロボロに欠けている(5)爪が厚く変形して切りにくい-の以上(1)~(5)の項目が一つでもあれば、爪白癬の可能性が大です。


 爪水虫は一度かかると治療しない限り治ることはなく悪化するだけです。爪切りが使えないほど、爪が厚くなったり変形したりすると爪自体を抜くしか方法がなくなりますので、症状の軽いうちに皮膚科医師の診断を受け、根気強く治療することが大切です。特に女性は爪の異変をマニュキュアなどで隠そうとする人がいますが、それは爪白癬を悪化させる原因ともなります。素足が映える季節、きれいな爪でオシャレも楽しんでほしいですね。

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