インフルをスピード検査

砂川隆二・かりゆしクリニック(2016年3月11日掲載)

早期治療で重症化防ぐ

 今年もインフルエンザがはやっています。


 大切な家族の健康を守るには、まずは適切な予防(予防接種、うがい、手洗い、マスクなど)をすることです。そのうえで万が一、感染したかなと思ったら早めに病院で診てもらうことです。


 インフルエンザウイルスは発症後24時間で爆発的に増殖します。また、インフルエンザの薬は発症後48時間以内に飲まないと効果がありません。ですから、早めに発見して早めに治療することがとても大切です。


 最近は多くの病院・クリニックで、簡単な検査キットによるインフルエンザの判定ができます。鼻の奥の鼻水を綿棒で取って調べるインフルエンザ迅速検査です。


 ただ発症12時間以内の感染初期の場合、体内のウイルスの量が少ないため、正確に判定することが実は難しいのです。検査の結果が陰性でも、本当はインフルエンザの可能性(偽陰性)があります。


 この問題を解決すべく、最近「高感度インフルエンザ迅速検査」という新しい検査方法が開発されました。テレビでも放映されていて、患者さんからの問い合わせも増えています。


 従来のインフルエンザ迅速検査は鼻汁中のウイルスに目印をつけ、その目印を検出することで陽性反応を出します。新しい高感度迅速検査では目印に銀を吸着させて100倍以上に増幅することにより、目印が大きくなり、より発見しやすくなりました。従来の検査では検出できなかった発症初期の段階(発熱後、約4~5時間以上)でも、インフルエンザの判定が可能となりました。


 また従来の検査に比べて、感度が10倍以上高くなったと言われています。


 例えば、ちょっとした咳(せき)や鼻水、微熱といった感冒様症状で、風邪だと疑われる患者さんでも、高感度迅速検査で検査すると陽性になることがあります。


 早めに診断できれば、早めに治療することができ、それだけ重症化も防げます。また、学校、老健施設、会社等での感染の拡大を防ぐことができます。


 インフルエンザ流行期には発熱直後にあわてて来院し、検査を希望する患者さんが多くみられます。従来の検査では「偽陰性」となりやすい発症から12時間未満の患者さんに、積極的に高感度迅速検査を行うことで「偽陰性」を減らすことが、実際の臨床現場では有用であると思われます。

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