腰痛

上原敏則・ロコモクリニック南城(2016年3月4日掲載)

発熱・増す痛みに要注意

 腰痛は経験したことがない人はいないぐらい広く多くの方が一生のうちに何度か経験する症状です。その原因はほとんどが筋肉由来の筋肉痛です。体を使いすぎての筋肉痛、あるいは普段運動しない方が急に腰に負担をかけてしまい筋肉を痛めてしまうとか、普段と違った無理な姿勢で腰を痛めてしまうことが多いです。


 前者は単なる筋肉の疲労で休めば治ります。まれに成長途上の若者がスポーツのしすぎで発症した場合、腰椎の疲労骨折をきたしてしまうこともあります。腰椎分離すべり症の原因といわれています。後者、突然発症の腰痛はいわゆるぎっくり腰(腰の中の靱帯(じんたい)損傷)や筋肉そのものの断裂(いわゆる肉離れ、内出血)の場合もあれば、椎間板ヘルニアをきたすこともあります。いずれにしても安静にしておればほとんど自然に治ってしまいます。


 筋肉や靱帯を痛めてしまうのは普段のこしみがきが足りないために生じてしまいます。ストレッチ不足、運動不足のため筋肉や靱帯が固くなり腰の動く範囲が小さくなって急の動きで痛めてしまうからです。体を前に曲げた場合指が床につきますか? せめて指が床につくぐらいまでの柔軟性がほしいものです。毎日歯磨きをして虫歯を予防するように、こしみがきで腰のストレッチ、筋肉トレーニングを行いましょう。腰痛に強い、腰痛になりにくい腰にして、体を動かす楽しみを味わいましょう。


 注意しなければいけない腰痛があります。自然には治らないどころか命の危険さえある腰痛のことです。寒気がして発熱を伴うとか(腎盂(じんう)腎炎や脊椎炎などの感染症)、安静にしても痛みがあるとか、痛みが日に日に、週ごとに、あるいは月ごとに徐々に強くなっていく場合、足の感覚が鈍かったり、力が入りにくくなったりするような場合、痛む場所が背中のほうから腰の下の方に移動して行く場合(大動脈瘤(りゅう)解離)など、しっかりと的確な診断が必要で、手遅れになると命の危険や下半身まひの重い障害を残すことがあります。高齢者では骨粗しょう症のためちょっと重いものを持っただけで骨折することがあります。


 以前20代の若い方で、年末の大掃除をして骨折した方がおりました。残念ながらがんの転移で骨がもろくなって病的骨折で見つかったのです。最初痛みはあるものの動けていたのですが徐々に痛みが強くなり病院に来られるまで1カ月あまりたっていました。


 こしみがきでロコモティブシンドロームを予防しましょう。腰痛で気になるようなことがあれば整形外科医にご相談を。

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