手足のしびれ(感覚障害)
中地亮・国立病院機構沖縄病院(2015年11月27日掲載)
患者さんの訴えで多いもののひとつに「しびれ」があります。しかし、「しびれ」を訴える場合でもさまざまな状態があり、以下(1)~(5)のものがあるとされています。
(1)感覚の低下=これは触った感覚(触覚)や痛みの刺激(痛覚)を与えても弱く感じるものです(2)感覚過敏=触覚や痛覚を通常より強く感じてしまいます(3)異常感覚=刺激が加わらないのに、ビリビリ、ジンジンなどと表現される感覚を感じます(4)脱力=力が入りにくい状態のことを「しびれ」と訴える場合もあります(5)脱力以外の運動障害(パーキンソン症候群など)です。
今回は(1)~(3)の感覚障害について説明致します。原因としては大まかに脳、脊髄、末梢(まっしょう)神経の障害で手足のしびれを来します。感覚障害の分布である程度は障害部位を推測することは可能です(例えば顔面を含む片方の手足の感覚障害の場合は脳が原因である可能性が高く、両手両足の先端のみであれば末梢神経障害の可能性が高いです)。
突然に起こった顔面を含む片側の感覚障害の場合には脳梗塞、脳出血の可能性が高いので、至急医療機関に受診すべきでしょう。
脳や脊髄については磁気共鳴画像装置(MRI)検査やコンピューター断層撮影(CT)検査で異常がないかを確認します。末梢神経障害に関しましては糖尿病やアルコール摂取、主に偏食によるビタミン欠乏症、膠原(こうげん)病、薬剤性のことが多いため、医療機関では問診、血液検査で確認します。さらに検査が必要な場合には末梢神経伝導検査、体性感覚誘発電位を行うこともありますが、施行できる施設は限られています。
また、職業的な手首への負荷や妊娠、甲状腺機能低下症などで手首のほぼ真ん中を通っている正中神経が圧迫され感覚障害を呈する場合もあります。これを手根管症候群と言いますが、安静や鎮痛剤で様子を見ますが、筋肉がやせてしまったり強い痛みがあったりする場合には整形外科的な手術が必要になることもあります。
また、高齢者の場合には加齢による末梢神経障害を起こすため、加齢以外に特に原因がなく、日常生活に困ることがなければ様子を見ていただくことが多いと思われます。
症状が強く日常生活に支障を来す場合には対症療法の薬剤もございます。治療を要する状態か様子を見ていいかの判断は難しいと思いますので、気になるようでしたらかかりつけの先生にご相談していただけたらと思います。