フリーウエートトレーニング

坂元 秀行・ヒデ整形クリニック(2015年9月25日掲載)

機械より筋力増強効果

 筋トレは大きく次の二つがあります。


・機械トレーニング(マシン)。


・フリーウエートトレーニング(フリー)。ダンベルやバーベルで負荷をかけるやり方。腕立て伏せ、懸垂などでも可能。


 効果的な筋トレには十分な負荷が必要です。安全な筋トレには正しいフォームが重要です。


 マシンの最大の利点は安全性です。マシンは動作の軌道が決まっているからです。


 正しい軌道で運動しないとけがにつながりかねません。


 安全性ではマシンが有利ですが、効果ではフリーがはるかに有利です。


 キーワードはスタビライザー筋と伸長性動作の二つです。


 関節が動く際主動筋が主な力源ですが、運動の軌道を保つためには姿勢を保持するスタビライザー筋が必要です。


 大胸筋を鍛えるトレーニングでチェストプレスマシンとベンチプレス(フリー)を例にあげます。


 大胸筋は腕を前に押し出す運動で鍛えられます。チェストプレスマシンはその運動に特化した機械なので単純に押す動作のみです。軌道の保持は機械が行います。フォームは一定するので安全ですが、スタビライザーは効いていません。


 ベンチプレスは台にあおむけに寝た状態でバーベルを胸の前で上げ下げします。バーベルを真っすぐに保持するためにはスタビライザー(肩関節周囲筋、背中、腕の筋)の収縮が必要です。


 つまり、フリーであるベンチプレスの方がマシンに比べる動員する筋郡が多いのでより効果があるのです。


 次に伸長性動作。バーベルを上げるときには短縮動作、下ろすときは伸長性動作です。バーベルを下ろす際、重力に逆らいながら下ろします(伸長性動作)。負荷は短縮動作時の方が強そうですが、実は伸縮動作時の方が強いのです。


 登山の際、上りの方がきついと思われがちですが、下山後の方が筋肉痛(遅発性筋痛)が強いのです。下山時、下肢筋は重力に逆らいながら伸長性動作を強いられるからです。伸長性動作の方が筋に対する負担が強いので筋力増強効果が出やすいのです。


 最近は安全性を重視するために、押す動作時のみ負荷のかかるマシンもあります。筋トレは安全性も大事ですが、筋力増強作用が重要です。ある程度体力がついた後は、フリーに移行することをお勧めします。フリーは正しい知識と技術があれば自宅でも可能です。

このページのトップへ