知ってほしい性感染症と避妊

島袋史・ゆいクリニック(2015年8月28日掲載)

愛があっても早まるな

 「愛があればセックスしてもよい」というのは本当でしょうか。愛しているならセックスできるはずだとつきあっている彼から迫られると、セックスに応じなければ、彼に嫌われると不安になるかもしれません。でも、ちょっと待って下さい。セックスには、望まない妊娠と中絶、性感染症といったリスクがあります。正しい知識を持たないセックスは危険です。


 性感染症は、からだの粘膜でバトンタッチ(感染)します。女性の粘膜は膣から子宮の表面と広い範囲で有り、また子宮から卵管を通じておなかの中までつながっています。感染が子宮だけでなく、卵管や卵巣に及ぶと将来の不妊の原因になることもあります。またクラミジアに感染していると、HIVにも感染しやすくなるということもわかっています。


 コンドームを正しく使うのは性感染症予防のために必須です。でもコンドームは完璧ではありません。破れたり外れたりすることが有ります。だから、もしセックスするなら、この人から病気がうつるかもという覚悟が必要です。パートナーと一緒に性感染症検査を受けて、お互いに感染していないこと、お互いに他にセックスする相手がいないこと、これらがクリア出来なければ、コンドームなしのセックスは感染の危険が伴います。


 今妊娠したらどうしても困る人は、避妊のためにピルを飲みましょう。ピルを飲んでいないのに避妊に失敗したら緊急避妊ピルという方法もあります。


 望まない妊娠をした場合には、出産するか、人工妊娠中絶をするかという選択をしなければいけません。もし、産まない選択をしたとしたら、今は、将来きちんと子供を迎えられるようにするための準備期間と考えて下さい。


 中絶手術をうけたとしてもそれだけでは不妊になりません。ですから、今度こそしっかりとした避妊をして、準備をしてから赤ちゃんを迎えられるようにしましょう。中絶は悪いことだというイメージがあるかもしれませんが、準備がないままに赤ちゃんを迎えることは、自分自身にも子供にも不幸なことになってしまいます。妊娠してから方針を考えるのではなく、セックスは妊娠に結びつくという事をぜひ知っていて下さい。


 セックスは正しい知識と覚悟をもって、この人と一緒に生きていきたいと、心からそう思える人としてほしい。セックスしたい人が現れたら、心も身体も自分の状況も含めて、この人とセックスする準備ができているか自分自身に問いかけてみてください。

このページのトップへ