ワクチンで防げる病気
宮城 裕之・おもろキッズクリニック(2015年7月24日掲載)
VPDとは、「Vaccine=ワクチン、Preventable=防げる、Disease=病気」を略した言葉ですが、その名の如くワクチン(予防接種)を受けて病気をなくそう、減らそうという考え方です。
最近はいろいろな種類のワクチンができ、予防接種事業もやっと先進国並みになってきましたが、現在受けられるワクチンで防げる主な病気を表にしました。
その中から幾つか予防接種の効果についてお話しします。
インフルエンザ菌、肺炎球菌による細菌性髄膜炎は乳児期にかかることが多く、重篤な経過をとり死亡したり後遺症を残したりしましたが、ワクチンができてからは激減しています。
細菌性髄膜炎は乳児期早期に罹患(りかん)することが多く、従って生後2~3か月より接種を開始することが重要です。
麻疹が流行し肺炎や脳炎で死亡者がでて社会的にも問題となりましたが、予防接種の重要性が再確認され接種率も向上し、最近やっと日本も麻疹排除国として認定されました。
また、風疹が流行した時には先天性風疹症候群という重い後遺症で悩まされましたが、予防接種を積極的に勧めることにより風疹の流行を防ぎ、先天性風疹症候群の発症を抑えることができています。
一方、1歳未満の乳児ではインフルエンザのワクチンによる予防効果は低いため、家族を含め周りの人が積極的にワクチン接種を受け、インフルエンザをまん延させないように配慮することが大事です。
同じことはお年寄りや、何らかの原因でワクチン接種が受けられない、免疫的に弱い立場の人々を間接的に守ってあげるという考えにもなります。
ワクチンで自らの病気を防ぐだけでなく、集団免疫の観点から積極的に予防接種を受け、病気の流行を抑え周りの人も感染から防いであげるという意識が大切だと思われます。
ワクチンの種類が増えたため、複数接種、同時接種も積極的に行われるようになっていますが、接種漏れれや誤接種を防ぐ意味でも母子手帳による確認が必要で、個々のスケジュールについてはかかりつけの医療機関でよく相談してほしいと思います。