何とかしたいイビキ

新垣馨・耳鼻咽喉科かおる医院(2015年2月13日掲載)

 百年の恋もさめると言われる程の大きなイビキ。暗闇の中で、のどの奥から響く異常な雑音に悩んでいる人は多いことでしょう。


 生活習慣病や、肥満の増加とともに増えており、一説によると日本国民の5人に1人はイビキをかくということです。これを放置しておくと、睡眠時の無呼吸発作になる可能性が高くなります。そうなると高血圧・心臓病・脳血管疾患などいろいろな病気の原因にもなるため、軽いうちに対処したいものです。


 イビキはどうして起こるのでしょう。笛を考えてみてください。先が細くなって音を出しています。これと同じ原理がのどの管(咽頭腔)で起こります。のどの管は起きた時には筒状の十分な空間がありますが、あおむけに寝ると管が変形し狭くなり音を発するようになります。この音がイビキです。のどの管の前方は舌のような軟らかい組織で作られており、それがアゴの骨や舌骨と筋肉でつながれています。ところが首周りや舌に脂肪がつくと、管は狭くなり寝るとその重みで変形しイビキをかくのです。ですからイビキの予防は夜間時、のどの管をいかに狭くならないようにするかにかかっています。


 その方法は第1に鼻呼吸すること。口を開けて眠ると下アゴが後方にずれます。同時に支えている舌も落ち込みのどの管が狭くなります。口を閉じ、鼻呼吸することでこれを防ぎます。鼻づまりのある人は鼻の治療が必要です。口呼吸になる人はテープで唇を固定し、歯科でマウスピースを作ってもらうと有効です。


 第2に寝方の工夫をする。横向きに眠るように努めます。舌が側方に移動し、後方に落ち込まないため、のどの管に隙間ができイビキが起こりにくくなります。横向きにしにくい人は背中側に丸めた毛布を置いたり、抱き枕を使ってみるのもよいでしょう。


 第3にのどの運動をすること。首周り、舌、のどの奥についた脂肪を取り去り、同時に筋肉を回復するには何よりも、のどの運動が大事です。ただ体重を落とすだけでは不十分です。(1)しっかりと首を伸ばしてうがいする(2)歌を歌う。サッカーの応援歌「オーレーオレオレオレー」は運動によい(3)「アッカンベー」などの舌や顔面筋を動かすイビキ体操をする。


 継続が大切です。イビキの程度は呼吸器内科や耳鼻科で相談してください。生活習慣病としてのイビキは生活習慣を見直すことでかなり改善できます。今日から取り組んでみてはいかがでしょう。

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