発作時の症状で診断

江夏努・みなみ耳鼻咽喉科医院(2015年1月9日掲載)

さまざまなめまい

 昔から「忙しくて目が回る」と言われるように多くの方がめまいを経験したことがあると思います。眩暈(めまい)とも書き、目が回り、くらくらする感覚の総称です。


 回転性めまい、浮動性めまい、立ちくらみ、平衡障害などがその症状です。天井がぐるぐる回って見えるときはその人の眼球が勝手に動く眼振があり、乗り物酔いのような気分不良や吐気などの自律神経症状を伴います。その原因疾患は「中枢性めまい」と「末梢(まっしょう)性めまい」に分類されます。


 「中枢性-」は脳幹、小脳の障害、脳血管障害、腫瘍など重篤なものがあります。中には緊急処置を要するものもあり脳外科医や神経内科医が対処する事になります。


 「末梢性-」は耳の前庭や内耳が原因で起こるめまいで耳鼻科医が診ます。前庭性めまいは前庭神経炎や良性発作性頭位めまい症など。内耳性めまいはメニエール病や突発性難聴などです。


 めまい発作が起きたら、いつどういう時に目が回ったか、耳がおかしかったか、他に神経症状は無かったかが診断の大事な手がかりになります。末梢性めまいで吐気や不安感が強い時は、その症状の治療を優先させ、落ち着いてから聴力検査や眼振の観察やめまいの聞き取りなどで基礎疾患を診断します。


 聴力に異常なく、寝たり起きたり、寝返りした時に目が回ってすぐ収まる場合は良性発作性頭位めまい症を考えます。これは前庭にある耳石のかけらがはがれて半規管に入り込んで起こります。どの半規管が患側かを決めて、それに対応する浮遊石置換法を施行します。うまくいけば1回の施術で治ります。


 前庭神経炎は突然起こる激しいめまいで耳鳴り、難聴は無く、ウイルス感染と考えられています。悪心、嘔吐(おうと)を伴うため発作期は安静が必要で入院点滴治療を勧めます。


 メニエール病は蝸牛(かぎゅう)で内リンパ水腫が起こり、めまい、難聴、耳鳴りの3症状が出現するものでストレスが原因とされています。内リンパ水腫の改善に浸透圧利尿剤が投与されます。


 ある日突然耳が聞こえなくなり、めまいを伴う場合は突発性難聴を考えて早期の治療開始が必要です。中等度の難聴やめまいを伴う時は入院して点滴治療などをします。


 めまいは基礎疾患によって治療方法が異なります。フワフワしてめまいが起こりそうだと思ったら早めの耳鼻科受診をお勧めします。

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