抗酸化でリスク回避

石間友明・セントペアレント石間(2014年9月26日掲載)

 晩婚化・晩産化が不妊症を増加させ、リスクの高い妊娠とお産を生じています。その原因は細胞の老化からきています。


 老化する原因は酸化(サビ)と糖化(コゲ)です。過剰に発生した活性酸素が体内細胞を劣化させ、糖化した細胞が蓄積して老化を促進させます。酸化した物質は排出できるのですが、糖化した物質は蓄積され進行すると食い止めるのが困難となります。


 私たちは呼吸して酸素を取り込みエネルギーを作り出していますが、さまざまな活動に伴って体内でより酸化力の強い「活性酸素」が作られます。毒性が強く、体内で細胞やウイルスを退治してくれる反面、健康な細胞まで攻撃してサビつかせ老化します。生体内にはそれを消去する防御機構があるのですが、そのバランスが崩れた状態を「酸化ストレス」といいます。


 活性酸素により損傷を受けたDNA中のある成分が酸化されて産出されたものを計測することで酸化度は調べられます。一般的には年齢と共に高くなりますが、最近20代でも高値を示し不妊症の原因にもなっています。また全年齢における子宮内胎児死亡と習慣性流産に大きく関わっていると思われます。体内のサビをとることで妊娠成立および、出産まで無事に過ごすことができます。


 妊娠高血圧症候群(PIH)の妊婦は正常妊婦に比し、酸化ストレスが高進しています。PIHは経産婦より初産婦に多く見られます。腹壁のたるみ、つまり腹腔(ふくこう)内容積の大きさ(ゆとり)が大動静脈の圧迫を緩和させることで高血圧を防いでいます。初産婦はそのゆとりが少ない訳です。その上、肥満になるとますますゆとりがなくなり高血圧を引き起こし、静脈血環流障害でむくみを、腎血流の減少にてたんぱく尿を引き起こします。肥満は大敵です。PIHの重症は母子が死に至ることがあります。


 タンパク質とビタミン・ミネラルをしっかり摂り、糖質は抑え気味にして果物も摂り過ぎると糖化の原因となります。抗酸化物資としてはビタミンC・E、コ-エンザイムQ10、リコピン、カロテン、レスベラトロール、アスタキサンチンなどを含む食品を意識して摂ることです。


 睡眠も大切で、脳松果体から分泌されるメラトニンという物質の抗酸化作用により卵子の質を高めます。タバコも酸化度を高め精子・卵子に悪影響を及ぼします。酸化ストレスの少ない生活をしましょう。

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