白内障について
今泉綾子・とよみ眼科(2014年7月11日掲載)
合併症で若い患者も
眼球の水晶体が濁る疾患を白内障といいます。水晶体はタンパク質からなっていて若いころは無色の軟らかい組織です。ほとんどの紫外線を吸収して網膜に紫外線がとどかないよう眼を保護したりピントを合わせたりする働きがあります。
白内障は水晶体のタンパク質が変化するために濁ってきます。主な原因は加齢ですが最近ではアトピー性皮膚炎や糖尿病などの合併症として若い人の白内障が増えています。
また、母胎が風疹(ふうしん)に感染すると生まれつき白内障の子供が生まれたり、眼を強く打つと白内障が出たりします。紫外線や喫煙も原因のひとつですので外出時にはサングラスや帽子の着用・禁煙をおすすめします。
加齢性白内障は50歳で約50%、80歳以上では100%が罹患(りかん)しているといわれています。水晶体の濁り方は人それぞれなので自覚症状はさまざまです。主な症状は視力低下、昼盲(ちゅうもう)、単眼複視、屈折異常があります。
昼盲は通常ではまぶしいと感じない程度の光がまぶしく感じる症状。単眼複視は片方の目を閉じるとダブって見える症状。屈折異常は今まで不自由だった近くの物が見えやすくなってくることをいいます。
生活に不便を感じなければ手術を急ぐ必要はありません。ただし片眼に白内障が進んでいても、もう片眼の視力がよいと見えないことに気がつかないものです。たまに片方ずつ目をかくして見え方のチェックをしてみましょう。
白内障が進行しすぎると水晶体が溶け出して緑内障やぶどう膜炎などの合併症がおこりますし、術後の視力回復にも時間がかかります。また、視力がよくても急性緑内障をおこす恐れがあるタイプの白内障もあります。これは眼科で検査をしないとわかりませんので、年齢が上がれば眼科での検診をおすすめします。
白内障の治療は手術しかありません。手術は局所麻酔で顕微鏡を使い行いますが、ひどく緊張したり認知症がある場合は局所麻酔での手術が困難になります。その場合は入院して全身麻酔での手術が必要となります。
手術はできればしたくないと思いますが、ある程度の段階で手術をするのがよいと思います。見えなくなくなってからでは合併症の問題など不安要素が必要以上にでてきます。いつ手術をするかは主治医と相談し、最終的にはご自身で決めることですが、どうぞ賢明な選択をなさってくださるよう願います。