ひょっとして眼瞼けいれん
渡久山洋子・とくやま眼科(2014年4月18日掲載)
「最近とてもまぶしい」「ドライアイみたいだけど目薬をさしてもよくならない」「目を開けているのがつらい」など、思いあたる方はおられませんか? ひょっとしたらあなたは、隠れ「眼瞼(がんけん)けいれん」かもしれませんよ。
眼瞼けいれんは、自分の意思とは関係なく、両目のまわりの筋肉が勝手にけいれんをおこして、目が開けにくく自然なまばたきができなくなる病気です。
何らかの原因で神経が障害され、脳からの信号がうまく伝わらないため起きます。初めはドライアイと似た症状がみられます。たまに片方のまぶたがピクピクすることがありますが、多くは睡眠不足で起こる良性のものです。
自己診断として簡単なまばたきのテストをしてみましょう。鏡に向かって、ご自分のまぶたの動きを観察してみてください。
(1)まずは、眉毛は動かさずにゆっくり歯切れよく、10回まばたきをしてください。
(2)次に、できるだけ早いまばたきを10秒ほど連続して行ってください。リズミカルにできましたか?
(3)最後に、強く目をつぶってすぐにあける。これを10回くり返してください。
お疲れさまでした。全部クリアされた方は大丈夫です。眼筋の筋トレとして時々トライされてはいかがですか? どうも不自然なまばたきだったと思われた方は眼瞼けいれんの疑いがあります。一度、専門医にご相談ください。
治療の第1選択はボツリヌス治療です。これは食中毒で知られているボツリヌス菌からつくられた薬を、局所的に注射することによって神経の働きを抑え、筋肉の緊張を解きほぐし、症状を改善していくものです。
眼瞼けいれんの場合は、目のまわりにちょうど蚊にさされて腫れたくらいの量を、10数カ所注射します。効果は注射数日後から出現し、1~3週間で最大となりその後徐々に弱まり3~4カ月で消失します。したがって効果が切れてきたら再注射が必要となります。
眼瞼けいれんは、ただ様子をみているだけではどんどん悪くなる可能性があり、しまいにはまぶたが閉じてしまい自力では開けられなくなります。またボツリヌス治療を続けると、再注射までの時期が延びたり、あるいは、もう注射しなくても日常生活に支障がない状態(自然寛解)も期待できるといわれています。
その他の治療法として、内服薬や手術をすることもあります。