● 今年も8 月がやってきました。いつもと変 わりなく日常の診療に謀殺されていても、なぜ か8 月が特別な月のように感じてしまうのは 小学校のころの夏休みの印象が強いからでしょ うか。さて、広報委員会には対外広報と対内広 報があり、会員向けの広報が対内広報です。会 報誌の編集は対内広報の中心的な活動となりま す。今月号も暑さにまさる熱い編集会議が進め られて完成しました。
● 今月号の表紙には藤川栄吉先生から頂いた 作品の中から8 月に相応しい一枚が選ばれまし た。報告では重要課題が並びました。九医連総 会では横倉日本医師会長が中央情勢報告をされています。1.国民皆保険の堅持と社会保障制度 改革国民会議について、2.控除対象外消費税に ついては診療報酬で手当てをするのか償還払い なのか、3.健診の体系化と平均寿命と健康寿命 の8 年の開きについて、4.医療事故調査制度 の創設については警察を介入させないためにど うするのか、5.TPP については聖域なき関税 撤廃が前提である限り交渉参加に反対するとし ています。沖縄県・沖縄県医師会連絡会議では 1.在宅医療への県の対応、2.小児救急医療電 話相談♯ 8000 の継続について、3.琉大病院の 再整備計画における全面建替えに関する国の財 政支援について、4.第二期沖縄県医療費適正化 計画についての報告がされています。そして大 盛況であった第116 回沖縄県医師会医学会と県 民公開講座の様子が報告されています。今回の マスコミ懇談会のテーマはドラマ「純と愛」で 社会化した若年性認知症についてです。懇談会 の様子からも関心の高さが伺えます。生涯教育 は膵癌です。最も予後不良の癌ですが、最近の 外科治療の観点から解説されています。プライマリ・ケアコーナーは内科診療や総合診療の中 でも多く接する機会がある高血圧と家庭血圧の解説です。 インタビューコーナーは琉球大学医 学部長に就任された松下正之先生です。医学部 改革、新病院構想など琉大医学部の将来ビジョ ンについてお話し頂きました。さて、8 月号の 楽しみと言えば緑陰随筆です。今年も話題が豊 富です。ホォー、ヘェー、なるほどと感心した り、そうだと共感したり、エッと驚いたり、ジ ーンと感動したり、ほのぼのと心が暖かくなっ たり、思わずニヤリと笑ってしまうような名作 揃いです。日常診療の合間にオアシスへお立ち 寄り下さい。
● アベノミクスの「3 本の矢」の3 番手であ る成長戦略の一つは医療です。「診療情報は宝 の山」発言が話題になりましたが、規制改革に 重点をおき「日本版NIH を創設」「先進医療審 査の期間半減」「健康長寿ビジネスを民間主導 で」「医薬品のネット販売解禁」、さらに「疾病 治療中心の保険制度を見直し」「外国人医師も 日本で医療できる制度」などに意欲的です。そ してTPP です。聖域なき関税撤廃の行方は如 何に、本誌が皆様のお手元に届く頃には参院選 も終わり、いよいよ社会保障も制度改革へ向け て大きく動き出すのではないでしょうか。自民 党は国民皆保険制度について前回の衆院選公約 では「守る」としていましたが、今回の参院選 では「堅持」としました。また、「混合診療」 の全面解禁に対して政府は「保険外併用療養費 制度」の対象拡大で対応する事としていますが、 規制改革会議で「混合診療」の全面解禁の議論 がいつ再燃するかわかりません。皆保険が堅持 されても怪保険にならないか、国民が酷民にな らないかと心配になってきます。今年は「九州 は一つ」を合い言葉に県内で九州医師連合会の 諸行事が開催されます。熱い夏が続きそうです。
広報委員 出口 宝