沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 5月号

前のページ | 目次 | 次のページへ

編集後記

4 月5 〜 6 日、和歌山市で開催された中部日 本整形災害外科学会のあと、会長のご厚意で 熊野古道を訪れました。爆弾低気圧のせいで6 日から電車が止まりツアーも危ぶまれました が、7 日には天気も持ち直し熊野古道・那智の 滝と訪れることができました。町中の桜は半分 ほど散っていましたが、見事な山桜を楽しむこ とができました。車窓からは平成23 年8 月25 日に発生した台風12 号による那智川流域の大 規模な土石流災害の後も生々しく未だ修復途 上でした。

5 月号の表紙は宮古島砂山ビーチで飾られて います。浜遊びでしょうか、楽しそうな雰囲気 が感じ取れます。本号のトピックスは1)平成 24 年度女性医師支援事業連絡協議会、2)消費 税問題に関する講演会、3)地区医師会長会議、 4)第4 回沖縄県医師会県民健康フォーラムで す。3)については記事をご覧下さい。本号は医 の倫理、母胎血cell-free DNA 胎児染色体検査 によるダウン症の検査、消費税等興味深い内容 が満載です。

第3 回シンポジウム「会員の倫理・資質向 上を目指して」では、「医療訴訟は決して患者 の重症度等比例しない」全くその通りです。医 療訴訟に巻き込まれるのがいやで、つい予防策 を考えてしまいますが、つらい状態でありなが ら私たち医師を信じて、病気と闘っている多く の患者さんがおり、努力にもかかわらず期待し た結果を得られない患者さんがいるのも事実で す。医師の努力と患者の満足がリンクするよう な社会の成熟を願ってやみません。

「平成24 年度母子保健講習会」では母胎血 cell-free DNA 胎児染色体検査について述べら れています。高齢出産に伴うダウン症の増加が あり、妊婦の知る権利と生まれてくる生命の尊 厳との間の大きな倫理的な問題を提起していま す。「女性医師支援事業連絡協議会」について、 今年の琉大卒業生は女性医師が40%でした。 女医の復職や勤務の継続のための環境整備は女 医ばかりでなく医療全体にとって重要な課題で す。日本の女医の勤務継続率は、県・市議会議 員の女性比率と同様に先進国の中でも低く、こ の率を先進国並みに上げることは医師不足の解 消につながります。他県の保育サポーターバン クなどの事業を沖縄県でも取り入れて行って欲 しいと考えます。

消費税問題も私たちにとって重要な問題で す。今まで医療に関する消費税が非課税であり、 控除対象外消費税が病院負担であり診療報酬へ の上乗せ分として補填されていましたが、消費 税の増税によりこの控除対象外消費税がクロー ズアップされてきました。詳細は本文をご覧下 さい。4 月20 日には四川地震が発生しました。 沖縄医報でも災害対策の特集が組まれていま す。本号でも「大規模災害発生時における多数 死体検死要項訓練」が報告されています。2 年 前の東日本大震災では多数の検死が行われ身元 確認に重要な情報が得られましたが、不慣れな ため初動が遅れたことが多くの身元不明死体を 残した原因の一つとなりました。不慮の災害に 対して準備しておくことは重要であり、将来の 災害に先駆けて訓練ができたことを大きく評価 したいと考えます。

第4 回県民健康フォーラムは腰痛が取り上 げられ、参加者は500 人を超えました。私た ち整形外科医は腰痛の原因を探しそれを物理的 に取り除くことを仕事としていましたが、一般 の腰痛の原因は社会的なものも含めて多彩なこ と、さらに電気治療やマッサージ、カイロなど のように施術により腰痛は軽快しても一時的で あり、長期的には意味の無い治療が蔓延してい ることなど多くの問題点があります。腰痛でも エビデンスが蓄積され、より良い治療効果が得 られるよう努力して行きたいと考えています。

広報委員 金谷 文則

前のページ | 目次 | 次のページへ