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平」

比嘉昌文

ハートライフ病院
予防医学センター 比嘉 昌文

約20 数年前に、恩師K 先生のお供で初めて 行ったお店です。先生が理事をされていた財団 の事務所が以前新橋付近にあったので、先生と お会いするときはよくJR 新橋駅近くのホテル のロビーでお会いしてお食事に行きました。い つも約束した時間より先に先生が待っていらっ しゃるので、私も段々早めに待つようになり終 いに15 〜 20 分ぐらい前には行くようになり ました。先生が好んで行かれたところが、東京 都中央区銀座8 丁目、新橋駅近くにあり山形で 創業300 余年の平酒造という蔵元直営の酒 場:平さんです。そこに最初に行った時には 銀座という土地柄、高級な店構えで敷居が高い と考えていましたが、洒落たデザインのビルデ ィングが建ち並ぶ表通りから少し薄暗い路地を 入っていくと木造2 階建ての建物があり、縄暖 簾の奥からほんのりと明かりの灯ったお店の入 口を入るとその空間だけ昭和の時代にタイムス リップしたようで仕事帰りの人たちが肩を寄せ 合いながら楽しく飲んでいるお店です。(近く には表通りに面した石川県の蔵元直営のお店が あり、そちらは逆にハイセンスな店構え)先生 は常連のようでお店の方に声をかけるとカウン ターとテーブル席のある1 階から少し急な階段 を上がられ2 階に!私達も先生の後について2 階に上がりましたが、80 歳近い年齢とは思え ないほどのしっかりとした足取りで、見ていて びっくりするやら、ひやひやするやら。2 階は 少人数で宴会も出来る座敷があり、そこで先生 のお好きなお酒と刺身などを食べながら、時間 を忘れていろいろな話を…?先生は若い頃から このお店を利用されていたとのこと(平酒造 のHP によれば、この店の開店は1931 年で現 在の場所に移ったのは1952 年)東京オリンピ ック開催前(1964 年頃)に某ホテルで集団食 中毒が発生し、原因究明のため数日間泊まり込 んでその処理にいろいろご苦労されたことや理事をされていた財団の会議を終えた後、メンバ ーの先生方とよくこちらに寄られてお好きなお 酒とお刺身を召し上がりながらいろいろな談義 をなされたそうです。お酒はビールと平酒造 の純米辛口酒(蔵元から吉野杉を用いて作っ たに詰められてお店に直送された)の住吉と 平など。住吉は人気コミックス「美味しん ぼ」に紹介されたこともあるそうです。ちなみ に日本酒は辛口が好きな私にとっても迷うこと のないお酒です。料理は山形名物の玉こんにゃ く(みたらし団子のように丸いこんにゃくを串 にさして煮込んだもの)や芋煮(米沢牛を使っ たしょうゆ味)、もってのほか(食用菊の一種 で天皇の紋章である菊の花をたべるのはもって のほか、ということに由来さているとか?)ほ かに丸小茄子漬・厚焼き玉子なと美味しい一品 料理が気軽にお店の方に声をかけて注文出来ま す。それ以降も財団の方や先生のご子息と何度 か行き、先生が院長をされていた病院や銀座の クリニックのことでいろいろ打ち合わせをした 思い出のあるお店でもあります。今でも機会が あれば一人で縄暖簾をくぐり、一階のカウンタ ー席に座りお店の方と話をしながら一時を過ご します。食べたり飲んだりすることが好きな私 は、お陰で東京に泊まる宿も平さんの近くに ある朝食が美味しいホテルをとるようにしてい ます。また以前から行ってみたい銭湯もありま す。そこは金春湯(こんぱるゆ)という銭湯で HP によると文久3 年(1863 年)から銀座に 開業して、昭和31 年までは木造建て。現在の 建物は昭和32 年(1957 年)に改装されビル内 に銭湯を構えたとのこと。今年中には銀座で銭 湯につかって身体を温めた後で、平さんで美 味しいお酒を飲みたいと思います。