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第197回 沖縄県医師会定例代議員会     
−平成24年度 事業計画、諸収支予算を承認− 

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

去る3 月29 日(木)午後7 時30 分より沖 縄県医師会館(3F ホール)において、第197 回定例代議員会が開催された。

まず、新垣代議員会議長より定足数の確認が 行われ、定数58 名に対し、45 名の出席が確認 された。

定款第34 条に定める過半数に達しており、 本代議員会が有効に成立した旨宣言され、議 事録署名人に中部地区医師会の與那嶺吉正代議 員、南部地区医師会の嘉手苅勤代議員が指名された。

冒頭宮城会長から次のとおり挨拶があった。

挨拶

○宮城会長

宮城会長

皆さん、こんばんは。 本日は第197 回定例代 議員会を開催いたしま したところ、代議員各 位におかれましては、 年度末で非常にお忙し い中を枉げてご出席いただきまして、衷心より厚く御礼申し上げます。

去る2 月16 日の代議員会におきましては、 4 月からスタートする新執行部を選出していた だき感謝申し上げます。会長に就任以来「地域 に根ざした活力ある医師会」をモットーに掲げ、 理事者の協力のもと、地区医師会との連携強化 を図り、地域住民から評価される地域医療の展 開を目指して会務運営に取り組んでまいりまし た。4 期目も引き続き地区医師会との連携を保 ちながら沖縄の医療の向上のために努めていく 所存であります。

また、この度の新公益法人制度改革に伴う新 法人への移行につきましては、本年4 月1 日 より一般社団法人としてスタートすべく沖縄県 に認可申請中でありましたが、おかげを持ちま して3 月19 日付で正式に認可書が交付されま した。

4 月1 日から一般社団法人への移行を機に、 沖縄県医師会の一層の活性化と連携強化に努め てまいる所存でありますので、引き続きのご支 援・ご協力を賜りますようお願いいたします。

後ほど、平成24 年度の事業計画の中で、玉城副会長から具体的に説明をしていただきます が、平成24 年度も「地域医療再生」を最重点 課題として位置づけ、医療連携、医師確保対策 等をはじめ、諸事業を積極的に展開をして、地 域医療の充実・発展並びに医師会活動の活性化 につなげていきたいと考えております。

特に県民医療を考えた場合、現在、中・南部 地域で問題となっている満床による入院患者が 受入困難な事態(救急の場合ですけれども)、 あるいは県立病院の運営のあり方等、もう一度、 問題の根本を見つめ直し、具体的な対策を講じ る必要があると思っております。

また、本年4 月から実施される新たな沖縄振 興計画においては、本会よりいろいろ提案して おりますが、「長寿復活と地域活性化並びに沖 縄メディカルアイランド構想」として、少子化 対策や過疎地域の活性化とともに、重粒子線装 置をはじめとする先端医療技術の導入等、医療 を通じた沖縄の成長が図られるよう提言してお ります。平成24 年度はこれらの提言の具体化 に種々取り組んでまいる所存でありますので、 代議員の先生方のご協力をお願い申し上げる次 第であります。

さて、現在、我が国の医療界では、医師不足 をはじめ、診療科や医師の地域偏在、TPP 問 題等、いろいろな問題が山積しております。こ れらの問題を1 つ1 つ解決していくためには、 我々医師会員が一丸となって行動を起こさなく てはいけないと考えております。

そのためには、来たる4 月1 日に開催される 日本医師会役員選挙において信任された役員に 対しては、オールジャパン体制で支援をして、 政府や関係機関へ提言していかなければなりま せん。会員各位におかれましても、強い医師会 づくりのため、より一層のご協力を賜りますよ うお願い申し上げます。

本日は、4 月からの会務運営に関する重要な 議案を上程させていただいております。慎重に ご審議の上、ご承認を賜りますようお願い申し 上げます。

最後になりますが、本会役員は3 月末日をもって任期満了となりますが、小渡敬副会長、大 山朝賢常任理事、當銘正彦理事、稲福豊監事に おかれましては、今期限りで退任されることに なりました。先生方には長年にわたり本会の会 務運営並びに事業推進にご尽力をいただいてお り、この場をお借りして感謝申し上げる次第で あります。今後とも、医師会の発展のため、ご 指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、 挨拶とさせていただきます。最後までよろしく お願いいたします。

その後議事に移り、以下の議案について各担当理事から説明され、全て原案通り承認された。

第1号議案 平成23年度 沖縄県医師会一般会計収支予算補正の件
第2号議案 平成24年度 沖縄県医師会事業計画の件
第3号議案 平成24年度 沖縄県医師会諸会費賦課徴収の件
第4号議案 平成24年度 沖縄県医師会諸会費減免者の件
第5号議案 平成24年度 沖縄県医師会一般会計収支予算の件
第6号議案 平成24年度 沖縄県医師会医事紛争処理特別会計収支予算の件
第7号議案 平成24年度 沖縄県医師会会館建設特別会計収支予算の件
第8号議案 平成24年度 沖縄県地域産業保健センター事業特別会計収支予算の件
第9号議案 平成24年度 地域医療連携体制総合調整事業特別会計収支予算の件

その他、当代議員会における質疑の要旨は次のとおりである。

質疑応答(要旨掲載)

1.議事に関する質疑

○長嶺信夫代議員

長嶺信夫代議員

平成24 年度沖縄県医 師会事業計画の地域医 療計画についての件で 意見を述べたいと思う。

この1 週間、皆さん新聞を見てよくご存じと思うが、県立病院の定員枠問題について、今日の県議会で執行部案どおり通った。

この件に関して、ある病院長にいろいろ意見 を聞くと、結果的には県立病院院長と病院事業局 長、県総務部との間で意見が十分すり合わされな い段階で議会に提案されたからこういうことにな ったんだということであった。この件について、 県医師会がどの程度関与しているかということを 聞くと、残念ながらほとんど関与していないとの こと。沖縄県公務員医師会も県医師会の構成団体 である。当問題は非常に重要なことであり、病院 長は特に定員枠が締められ、医師が十分採用でき ない。職員も十分採用できない、そのために診療 制限があったり、空床にしなければならなくなっ ている。こんな中で頑張っている。病院長側に対 して野党側は病院長の意見を尊重して何とかやろ うと頑張っている。それに対して一度提案された からには与党のほうは与党なりに、それを押し切 ろうとする。非常に残念な動きになっている。

こういうのを県医師会が何らかの意味でサポ ートして、もっといい方向へ進めるように今後 頑張ってほしいと思う。

回答(玉城副会長)

玉城副会長

県医師会が答えると いうことではなさそう であるが、一番のネッ クは「県立病院」とい うことである。3 年間 の85 億円の繰入金は今 年で終わる。その後どうするのかということである。定数を100 増 やしたり、200 増やしたりというのは、すべて 県議会の承認を得ないといけない。病院事業局 は給与その他で年間4 億円のお金を使う。数年 前にも独立行政法人がいいのではないかという 話をしたが、それを決めるのは県立病院の先生 方なので、定数が何名かということを私は何も 聞いてはいないが、福祉保健部部長、病院事業 局長が苦労しているのは聞いている。

おそらく給与と収入の面から見て111 名と いう数字を出したのだと思う。例えば500 名 の枠をもらって、それをどれぐらい使うかとい う話ができるのかどうか、私もわからないが、 とにかく議会に申し込まないと何もできないと いう事業形態を払拭できなければいけないと思 っている。

我々から県立病院にこうしたほうがいいとい うことは言えないので、話し合いはするが、結 局は県立病院の中で自分たちが県民に医療を提 供するためにどのような体制で、どのような方 向でいくかということを、この1 年で模索され ると思う。それに対する話し合いはしていこう とは思う。

回答(真栄田常任理事)

真栄田常任理事

私は小児科医として、 大きな疾患を持った子 ども達の親御さんを束 ねている団体である沖 縄こども医療支援わら びの会の理事長をやっ ている。また、県医師 会の役職ということもあり、病院条例の改正を 求める陳情書を今回出した。県立病院の先生と 一緒になって文書を作って提出した。その結果、 非常に反応が良かったようで、嬉しく思う。ま た、今後も陳情等について外と中と両方進めて いければ有り難いと思う。




○名嘉勝男代議員

名嘉勝男代議員

事業計画そのものについての質問ではないが、特定健診について、県医師会のお考えをお聞きしたい。

特定健診については、 各自治体とも受診率を 上げるために非常に躍起になっているが、受診 率がなかなか上がらないため、常に病院を受診 している人や、治療を開始している人たちのデ ータを提供できないかということで、自治体か らアプローチがあり、医師会としてそれは本来 の特定健診の趣旨に反するということで断って いるが、最近は、自治体が個別に個々の医療機 関を通して、データをもらえないかということ で契約しているという話が聞こえる。それは単 に受診率を上げるためで、本来の特定健診の趣 旨から反するんじゃないかと思うが、県医師会 として実際に指導をやる考えはないか、お伺い したい。

回答(玉井理事)

玉井理事

今の名嘉先生のご指 摘は、私も大変問題だ と思っている。自治体 や県行政から、診療所、 病院にかかっている方 たちのデータだけこの 用紙に書いてくれれば、 受診したということにさせていただく。文書提 供料として3,000 円或いは4,000 円とか、それ ぐらいの値段で文書料を払わせていただくと いうようなことを堂々と私のところに話をし にくる。

ただ、こういうことを許してしまえば、特定 健診の集合契約というものが瓦解する。今沖縄 県だけが完ぺきな集合契約をやっているので、 これが一部でも崩れてしまうと困るのは離島や へき地である。そういうところが特定健診を受 診しにくい環境をつくってしまうということが一番よくないというようなことを県行政にも強 く申し入れている。こういうことに関しては、 実は本当にモグラ叩きのように1 つのところを 潰せば、また、別のところで顔を出す。しかも 別の医療機関にゲリラ的にお話をするというよ うなことが、やはりこれまでも起きている。も し、このようなことがあったら、ぜひ沖縄県医 師会にご一報いただければ、これに対して正式 に抗議する。

沖縄県全体のことを考えて、県は判断してく ださいということは常々言っている。今後もこ のことに関しては、常々問題だと思っているの で、医療機関や市町村でそういうようなことが あるという情報があったら、是非ご一報いただ ければ、それに対して毅然とした対応をしてい くので、今後とも情報提供をよろしくお願いし たい。

○中田安彦代議員

第5 号議案の平成24 年度沖縄県医師会一般 会計収支予算について質問したい。職員退職金 は2,308 万1,000 円ということであるが、これ は何人の退職金か。

回答(真栄田常任理事)

職員1 人の退職金であるが、勤続年数が36年にあたる職員である。

2.質問

「次期 日本医師会長選挙について」(中部地区医師会:個人質問)

○中田安彦代議員

中田安彦代議員

日本医師会の次期会 長選挙について、原中 会長は会長選に再選を 目指して立候補する考 えを表明したが、同会 長選には既に京都府医 師会の森洋一会長が立 候補を表明、更に福岡県医師会の横倉義武日医 副会長も出馬し、三つ巴の争いとなる公算が高いが、このことについて、沖縄県医師会として 投票行動も含めてどのようにお考えか、ご教示 願いたい。

なお、この質問をしたのは、4 月1 日に医師 会長選挙があるようであるが、一般会員ではあ まり興味もないような雰囲気があるので、代議 員会において県医師会の日本医師会代議員の先 生方に意義というか、そういう話をしていただ ければと思い、質問をさせていただいた。

回答(宮城会長)

2 年前の代議員会でも浦添市医師会から、日 医会長選挙に対して沖縄県医師会はどういう対 応を取るのかという同様な質問があった。その 時に、過去に沖縄県医師会選出の日医代議員が 集まって、会長を誰にするかと話し合ったこと はない。それぞれの日医代議員が個人で決める と答えた。

それと同時に、会長としてどうするのかとい う質問があり、私は九州を大事にし、九州の立 場をとって活動をしたいという説明をした。そ の時にそれが理解ができていなかったというの は、九州が誰を推しているのかということをみ んなが分かっていなかったので、私の立場が理 解できなかったということだったようである。

今回もどうするのかということであるが、九 州から福岡の横倉先生が立候補を表明してお り、去る3 月10 日に開催された九州医師会連 合会常任委員会・九州各県医師会次期日医代議 員協議会において、九医連として横倉先生を推 薦をするということを全会一致で決定し推薦状 を出した。そういう意味では、私としても横倉 先生を支持していきたいという立場を表明した いと思う。

日医代議員4 人も、先ほど言ったように、過 去に話し合ったことはなかったが、今回の選挙 に関しては、九州から立候補しているというこ とで、出来るだけ一致して横倉先生を推してい ただきたいという話し合いをした。

横倉先生の推薦理由は次の3 点である。

  • 1)1年10カ月間副会長として日医内外の諸問題解決と会内融和に粉骨砕身努力さ れてこられたが、九医連としては日医を さらに強くするため、次期はトップとし て日医をリードして頂きたい。
  • 2)昨年11 月から施行された改正定款諸規 定では会長は有効投票総数の2 分の1 以 上の得票数が必要となったことから次期 は2 分の1 以上の代議員の信任を受けた 会長を選出する必要がある。
  • 3)政治情勢政局が混とんとしている中、人 脈が豊かで各方面に柔軟に対応できる受 け皿が必要であり最適任者である。

今回、横倉候補は、医師会の最も重要な役割 である地域医療の堅守と、地域の医療機関の連 携並びに適正な運営に取組むために、自分自身 がトップに立ちオールジャパン体制で速やかに 行動しなければならないとの強い決意を持って 立候補している。

九州は一枚岩というのが九州ブロックの立場 であるので、沖縄県医師会は横倉先生一本で態 度を表明しておきたいと思う。

「沖縄県医師会執行部における女性理事枠の新設に関して」(那覇市医師会:個人質問)

○白井和美代議員

白井和美代議員

日本医師会では、第 3 次男女共同参画基本 計画の閣議決定を受け、 積極的改善措置(ポジ ティブ・アクション) の成果目標に「女性1 割運動」を掲げ取り組 みを開始している。

「女性1 割運動」とは、平成24 年度までに日 本医師会委員会委員に女性を最低1 名登用、平 成26 年度までに理事・監事に女性を最低1 名、 常任理事に女性を最低1 名登用し、役員の女性 の割合を1 割にしようというものである。現執 行部では、ご存知のとおり保坂常任理事がご活 躍されておられるが、まだまだ女性の割合は少ないのが現状である。

この一環として、「『2020.30』推進懇話会」 というものが去る1 月27 日に日本医師会館で 開催され、県医師会よりご推薦をいただき、私 が出席した。

この懇話会は、先の基本計画の中で「社会の あらゆる分野で2020 年までに指導的地位に女 性が占める割合が少なくとも30%程度になる ように期待する」という目標が明記されたこと に関連して、日本医師会活動への女性医師の理 解を深めるために、今後、年3 回程度開催され る予定である。

この事業は日本医師会女性医師支援センター 事業として位置づけられているが、ただ、日本 医師会の現執行部内にも同事業に肯定的でない 方々もおられ、次期執行部で、この事業が継続 されるかは予断を許さぬところである。

一方、医学部学生に女性の占める割合は3 割 を超えて久しく、最近では4 割が女性であると ころも見受けられる。卒業後に生ずる女性特有 のライフイベントのため、就労曲線がM 字パ ターンを描き、医師不足に拍車をかける一因と なっていることは周知の事実である。

医師不足が深刻な状況下、県医師会でも宮城 会長並びに理事の皆様方のご理解の下、女性医 師部会の設立、女性医師支援センター事業の展 開などの施策が行われている。

お陰をもちまして、女性医師の就労環境の改 善、多様な就労形態への理解、離職後の現場復 帰への各種サポートの充実など着実な進歩が感 じられる。また、今春より稼動される沖縄クリ ニカルシミュレーションセンターへの期待も大 きなものがある。

ただ、昨今の県医師会執行部は、男性で占め られており、会内委員会においても女性医師部 会を除くと、まだまだ女性医師の登用が少ないのは日本医師会と同様であると感じている。こ れについては、女性医師側に努力不足の面が有 ることは充分承知しているところあるが、特に 家庭を持ち1 人で多くの役割をこなす場合に は、医師会活動への参加もままならないのは確 かである。

しかし、今後増えていく女性医師に医師会活 動への理解、関与を求めることは非常に重要で あると考えている。その第一歩として、県医師 会執行部に女性理事枠を新設して頂くことも1 つの選択肢ではないかと考えご提案した。よろ しくご検討のほどお願い申し上げる。

回答:(真栄田常任理事)

女性理事枠の新設ということであるが、ご承 知のとおり、平成24 年度の執行部は2 月に開 催された代議員会において定款に定める定数 の15 名が既に決定していることから、女性理 事枠を新設するためには定款の改正が必要とな る。そのため、ご要望のある女性理事枠の新設 については、次回の役員改選の際に改めて検討 していきたいと思う。

なお、沖縄県医師会理事の女性医師の登用に ついては、平成24 年度の新理事について各地 区医師会へ推薦をお願いしたところ、地区医師 会から女性理事を推薦したいということがあ り、これは素晴らしいことだということで、沖 縄県医師会の執行部としても是非進めていただ きたいとして、打診を行ってきたところである が、残念ながら調整がつかず、今回は女性理事 の誕生はなかった。

県医師会理事は各地区医師会の推薦を優先す るので、是非女性部会の方でも各地区医師会に 働きかけていただき、また、各地区医師会の理 事会でも積極的に女性理事の登用並びに県医師 会理事への推薦をお願いしたい。










































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